*** 子育ち12章 ***
 

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「第 59-05 章」


『子育ちは 意思を伝える 言葉得て』


■子育ち12省察■

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『子育ち第5省察』

【表現】

《まえがき》
 この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の針路構成となります。

《表現とは?》
 悲しくて泣く,怒りに震える,喜びの声をあげる,分かったと手を握りしめる,人は気持ちを表現します。雄叫びが言葉になり,身振りが踊りになり,イメージが壁画になり,お互いに共有・共感できる形に洗練されて,文化となってきます。もう一人の自分も自分を理解することができるようになって,人類は人に成長してきました。言葉が未熟であれば,自分理解が進まずに,苛ついたり,訳が分からない状況に追い込まれていきます。自立する上で言葉による自分との対話が必須なのです。

 どのようなものであれ,表現は不完全です。近所から漏れてくるピアノの音が,美しい音とは限らず,騒音にもなります。言葉が誤解されて,そういうつもりではなかったという状況が起こります。夕焼けという言葉を美しい風景と思う人もいれば,寂しくて泣きたくなる風景と思う人もいます。分かり合うためには,単語ではなく文章による表現で確かめ合う配慮が肝心です。同世代間では単語で通じますが,異世代間ではあれこれと説明が必要になります。親子の間はどうでしょう? 「ちゃんとして!」 子どもは「?」

 どのような言葉で考えているか,語っているかということが,その人らしさを醸し出します。乱暴な言葉を使っていれば,振る舞いも粗野になります。美しい言葉を使っていれば,自然に振る舞いも美しくなっていきます。言葉の美しさを伝えてきたのは,母の言葉でした。母国語というのは,母の言葉が国を作っているという大きな意味があったのだろうと思います。優しく美しい響きの言葉を子どもたちにきちんと教え込んでいくことが母の務めです。母は言葉の先生なのです。



 子どもたちの悩みを受け止めるシステムとして,人権擁護機関が全国の小中学生全員に「SOSミニレター」を配付しています。学年毎の利用割合を見ると,小学3,4,5年生がピ−クになっています。相談内容のいじめの中で,最も多いのが言葉によるものです。言葉を人に対する刃のように使う子どもが多いということです。人を生かすためにある言葉がないがしろにされているようです。子ども世界における言葉を,美しい言葉で洗い流すことが急務です。お母さん,がんばって!

★落書き★

 端午の節句には,かしわ餅を食べます。江戸時代中頃,端午の節句の贈り物として江戸で作られ,参勤交代で全国に広まりました。カシワは落葉樹ですが,秋に葉が枯れても,春に新芽が膨らむまで落葉しません。それが家の跡継ぎが代々続くことにつながって縁起がよいとされたのです。現代では,雨にも風にも負けずに葉を落とさないので,元気な子どもにつながると考えられているようです。親の願いを子どもに伝える風習は大切に残したいものです。


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