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「第 64-13 章」 |
『子育ちは 共に歩んで 和やかに』
■子育ち12教則■
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『子育ち第13教則』
【和を見つけよう】
《まえがき》
この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の針路構成となります。
この第64版では,あるお店のスタッフに向けた注意すべき心の持ち方25箇条の中から,子どもの育ち12の教則として選び抜いたものを,子育て羅針盤風にお伝えするつもりです。
《和を見つけよう?》
人は悲しいことですが,マイナスの感情を隠し持っています。他人を嫉妬したり,うらやんだり,ねたんだりします。その感情にとらわれると辛いことになります。なんとかしなければなりません。感情を消すことはできませんので,打ち消すだけのプラスの気持ちをかき立てることになります。他人と比べて自分に無いものがあると思うから,うらやみます。自分には別のものがあると思ったり,そのうちあるようになると信じられればいいのです。マイナスとプラスの和で0になります。
足し算を和といいます。男の子3人と女の子2人の和は? 5人? リンゴ3個と小石2個の和は? 5個? 電信柱3本とマッチ棒2本の和は? 5本? どこかおかしくありませんか? リンゴと石,電信柱とマッチ棒は全く違うので,足すことはできません。では男の子と女の子は? 男の子も女の子も同じ子どもであるということで,子どもが5人となるのです。足し算は同じものに限られます。和を見つけるというのは,同じところを見つけること,同じだから和やかになるのです。
違いを意識すると,差を見つけることになり,差別につながります。同じところを探して,和を見つけることができると,同和になります。仲良くするというのは,和やかな関係ですから,どこか同じという部分があると意識できるのです。同級生,同窓生,同郷,同国というつながりが人を結びつけます。いじめは,いじめっ子を作ることで,いじめる方の同じ仲間という意識を生み出すことです。間違った和の意識です。上級生に比べて自分たちは同じ仲間という形であるべきです。
今号で,子育て羅針盤第64版が終わります。職場という環境における人としてありたい姿を,育ちの目標に置いて,話を進めてみました。どのような環境であろうと,人としての在り方に変わりは無いはずと考えたからです。如何でしたか。来週からは第65版に進行します。
プラトンの言葉です。「教育とは,視力を外から植えつける技術ではなくて,視力ははじめから持っているけれども,ただその向きが正しくなくて,見なければならぬ方向を見ていないから,その点を直すように工夫する技術なのだ」。子育て羅針盤で育ちの方向をきちんと見定めていただくお手伝いができたらという思いを支えてくれているようです。育ちが向かうべき12の方向を,これからもご一緒に考えていきましょう。
★落書き★
「ぽっぽっぽっ,鳩ぽっぽ」。明治の中頃,この作詞をしたのは東くめという音楽学校を出て女学校の教師をしていた女性です。東京女子師範の教授であった夫から,「なぜ,童謡には文語体のものしかないのか。子どもたちが親しみをもてる歌を作れないものか」と,話がありました。その会話をきっかけに,くめが作詞をしたのが「鳩ぽっぽ」で,浅草の観音様の境内で,無邪気に遊ぶ鳩と子どもの姿を思い浮かべながら書き上げられた,最初の口語体の歌なのです。
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