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「第 74-01 章」 |
『子育ちは 私信じる もうひとり』
■子育ち12独語■
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『子育ち第1独語』
【わたしはわたし?】
《まえがき》
この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の針路構成となります。
この第74版では,第73版の続編として,「子育ち」をしている子どもたちが,育ちの最中に心でつぶやき続けている言葉に寄り添って考えてみようと思っています。育ちたいという思いを12の指標になぞらえてみることで,子どもたちにしっかりと寄り添うことができるはずです。それによって,子育てをしている大人の願いが子どもにきちんと伝わっていくことでしょう。子どもの自然に発露する独り言という新たな12の指標盤を楽しんでください。
《わたしはわたし?》
母親にくっついていた自分が,母親が自分以外のあの人とくっついていると気がついてしまったときから,母親とは違う,あの人とも違う,私という自分の存在を知ることになります。それを知るのが,もう一人の自分です。自我が芽生えたということです。具体的には,私の名前は○○ですと,もう一人の自分が他者と区別して自分を意識します。親の過度な世話に対して,もう一人の子どもは私は私と主張してきます。母親にあれこれ指図されると,ほっといてと密かに思うようになります。自尊感情の芽生えです。
ある女の子の経験です。クラスの中で,いつからか何かしら赤いものを身につけることが流行っていきました。気がつかなかったのですが,一人の女子がそうしようということを言い出していたのです。皆は特に異を唱えることなく従っていましたが,ある女の子はそうすることもなかったので,やがて仲間はずれになっていきました。私は私と,言われるままになることを選ばない強さを持っていました。私は私らしくあればいいという気高さを,信頼する親の励ましが持たせてくれています。
親として,子どもが「わたしはわたし」という思いを育ちに組み込んでいけるためには,どのように関わっていけばいいのでしょう。簡単に言ってしまえば,子どもを一人の人間として接するようにすればいいのです。子どもの育ちに合わせて判断を任せて選ばせて決めさせます。子どもの身に余るようなことでは,できるだけ共同するようにして,自分にもできることがあるという経験をさせます。自分を信じることを通して,私は私への育ちが進んでいきます。
子どもたちの環境は,子どもにあれこれさせようとし過ぎています。子どもからすれば,あれこれさせられています。ゲームは誰かが作ったものをさせられています。私が私らしく考えて手作りで生み出すことはありません。身の周りにあるものを利用して創造する,私らしい遊び,私らしい行動,私らしい思い,私らしい楽しみ,そのような大事なものを奪われています。我が家の味付け,我が家の暮らしぶり,そういう思い出を持てるようにしてやりたいですね。
★落書き★
寒くなると温かい鍋物が喜ばれます。白身魚を熱い鍋に入れて食べるちり鍋があります。魚の身が熱いお湯で「ちりちり」と縮むことからの命名です。このメニューを「ちり鍋」の名で最初に食べたのは,幕末の日本に来た西洋人だったということです。彼らには刺身を食べる習慣がなかったためです。食文化の違いが出会うと,そこではお互いに受け入れ可能な新しいものが生み出されてきました。違いに反発するのではなく,融合するという選択をする方が豊かさへの仕合わせです。
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