*** 子育ち12章 ***
 

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「第 73-14 章」


『子育ちは 人の温もり 受け継いで』


■子育ち12願語■

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『子育ち第14願語』

【人間でありたい?】

《まえがき》
 この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の針路構成となります。
 この第73版では,「子育ち」をしている子どもたちが,育ちの発露としての願っていることに寄り添って考えてみようと思っています。育ちたいという思いを12の指標になぞらえてみることで,子どもたちにしっかりと支援の手を伸ばすことができるでしょう。それは一方で,子育てをしている大人には,大人の出過ぎる願いを控えることにつながるはずです。子どもの願いという新たな12の指標盤を楽しんでください。

《人間でありたい?》
 誰も私のことを分かってくれない。その状況に追い込まれたら,自分の人間としての尊厳を信じられなくなります。友だちから意図的に排斥されている子どもが,いじめられていると訴えても届かないで,寄り添ってくれる人間を見つけられないまま,絶望の淵に立たされる事件が後を絶ちません。人間であるとは,寄り添っている関係を通じて,お互いが確認するものです。あなたは大切な人ですと,信頼する人から認めてもらうことによって,人間として生きていく喜びが燃え上がるのです。

 温かい人と冷たい人がいます。温かい人は,厳しい条件を付けずに人を受け入れることができます。だから,温かい人は周りの人を温かく包み込み,その人も温かくなります。親の愛という温もりに包まれている子どもは,温かな人間に育ち,友だちにも温かく接することができます。知らないうちに人間でありたいという願いが適っていきます。たとえその連鎖が途切れてしまい世間の風の冷たさとなって,人間らしさが薄められていく現実があっても,人は温かい人間でありたいと願い続けます。

 親として,子どもが人間でありたいという願いに向かって育つためには,どのように関わっていけばいいのでしょう。日々の暮らしの中で,人間としてあるべき姿を見せてやることです。弱いけど苦難に真摯に向き合って清くありたいと努める姿が,人間でありたいと願う生き方です。人間としてこれで十分というゴールに届くことはなくても,願い続けることが大切だと思います。新しい年の始めに,人間としての自分を見つめ直してみる,そういう時を過ごす機会として,神の前に佇んでみては如何ですか?



 教育の場で資格や専門性を高めることが進みそれなりの成果が出ているようですが,受け入れ側の企業ではその頑張りは評価するが,人間関係をきちんと築けて基礎学力の高い若者が欲しいという声が聞かれるそうです。社会性といった人間であることが低下しているという指摘です。新入社員が電話を取るのが怖いと辞めていったという話もありました。メールはできるのに,電話を取れない? どこの誰から掛かってくるか分からないから怖いという,人と向き合えないでは,人間でいられないのではと心配です。

 第73版はこの号で完結します。子どもの願いという形で考えてみましたが,視点の変更は新鮮な感じでした。次版でも継承してみようと思っています。短い文章形式で書いていますので完結不十分ですが,皆様方の問題意識を刺激することで考えて頂く入口になればと願っております。次号もよろしく。

★落書き★

 今夜を過ぎれば新年,お正月を迎えます。お正月は3が日であったり,1月であったり,地域毎にある日までとなっています。正という字には正しいという意味だけでなく改めるという意味があります。元日を迎えると,旧年から新年に年が改まるところから,正月というようになったということです。年が改まるのに合わせて,人も改まるつもりで,よりよい生き方を目指していきたいものです。


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