*** 子育ち12章 ***
 

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「第 74-11 章」


『子育ちは 日日の鍛錬 組み上げて』


■子育ち12独語■

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『子育ち第11独語』

【もういちど?】

《まえがき》
 この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の針路構成となります。
 この第74版では,第73版の続編として,「子育ち」をしている子どもたちが,育ちの最中に心でつぶやき続けている言葉に寄り添って考えてみようと思っています。育ちたいという思いを12の指標になぞらえてみることで,子どもたちにしっかりと寄り添うことができるはずです。それによって,子育てをしている大人の願いが子どもにきちんと伝わっていくことでしょう。子どもの自然に発露する独り言という新たな12の指標盤を楽しんでください。

《もういちど?》
 幼子と遊んだり,絵本を読んでやったりしていると,繰り返しすることをせがまれます。してやる方は同じことばかりでよく飽きないなと思っていますが,仕方なく繰り返すと,子どもは真面目に楽しんでいます。大人は一回すればそれでしたことにしますが,子どもは何回してもそれぞれが別の経験になります。同じ経験を同じ経験として楽しむことで,自分の中の記憶をおぼろげなものからくっきりしたものに上書きしていきます。記憶のピント合わせをしているのです。繰り返すことが育ちの基本形です。

 学力や運動能力を身につけていくプロセスも,繰り返しが基本です。練習は同じことの繰り返しです。初めてすることはうまくできません。最後までできずに途中でお手上げになります。途中までできた,そこが今の能力であり,できなかったところに「もういちど」と挑戦する繰り返しが「がんばり」になります。がんばりは何も無理に気張るのではなく,ごく普通にもういちどと繰り返すだけでいいのです。慣れるほど上手になる,繰り返しによって能力の荒っぽさが細やかに磨き上げられていきます。

 親として,子どもが「もういちど」という思いを育ちに組み込んでいけるためには,どのように関わっていけばいいのでしょう。子どもに何かを教えることがあるとき,何度も言わせないで,とは言わないことです。何度でも繰り返す,それが子どもの生硬な心身に学びを刻みつける唯一の方法です。面倒ですが順を追って説明する,それも一歩ずつ繰り返して,育てていくプロセスになります。端から見れば失敗しても諦めずにという挑戦,それは実は順を追って一工程ずつ組み上げているのです。



 虐待の報道が続いています。冷えた風呂場で冷水を浴びせるとか水風呂に入れるという行為が報道されています。初めは寒い冬に冷やされると辛いだろうなという悪寒を創造するだけでした。ところが,虐待する側の意図は全く違っていました。虐待をすると,周りの人に子どもの身体についたあざや傷によって見つけられます。そこで,身体に虐待の跡が残らないように,冷水を掛けるという手段を用いているというのです。怒りに任せての熱い虐待ではなく,冷静に冷酷な虐待をしているという恐怖を思い知らされます。

★落書き★

 陰で人に指図して操ることを,差し金と言います。大工道具に差し金というものがありますが,無関係です。人形浄瑠璃で使う差し金が由来です。人形の腕や手首,指を動かすために用いる細長い鉄棒があります。それが転じて,今の意味になったということです。陰に隠れて操り人形の動きを差配している,人形であれば見ている方も納得していますが,実世間では人形でなく人ですから,騙されてしまいます。また,指図されるようなことになったら,悪い指図でないことを確認しなければなりません。


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