*** 子育ち12章 ***
 

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「第 81-03 章」


『子育ちは 恐いからより うれしくて』


■子育て12心戒■

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『子育て第3心戒』

【子どもの不安をあおらないこと!】

《まえがき(毎号掲載)》
 子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問題視座です。また,2つの領域とは,自分の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が羅針盤の基本的な考察の構成となります。
 この第81版では,子どもたちの育てに関わっている親御さんが心得ておいた方がよい戒めを「心戒」として考えてみることにします。何となくなるように育てればいいというのではなく,あるべき育ちに沿っていくことができるように,親は子どもの育ちを見守りつつ支えてやらなければなりません。心豊かな子に育ってほしいという親の熱い願いが時として過剰に子どもに向けられることがあります。子どもは今の自分ではどうすればいいのと問いかけています。子どもの育ちのペースに寄り添った親の支援になるために,親は自分の子育てを検証することが必要です。今すべきことか,相応しい程度か,順序に沿っているか,子どもの育ちを見極めて,それなりに指導や助言をすることになります。子育ての全体を見渡したポイントになる12の指標を参考にしてください。

《待ってみる余裕!》
 子育てをする際に親の指図に従わせるというやり方が多く見られます。何度言えば分かるのという場面があるのは,思い通りに進まない現れです。子どもが従わざるを得ない状況にする手立てが必要になります。もっとも安易なやり方が,従わないと不利益になるよ,困ることになるよという負のメッセージによる誘導です。交通ルールを守らないと反則金が課せられるという世間一般の方策です。でも,子育てにはどうなのでしょう?

 言葉の覚えはじめの頃はポツリポツリと口に出します。ゆっくりと待ちきれずについついママが急かせます。イライラして「早く言いなさい」と迫ります。ママにすればどうということのないひと言です。でも,子どもにすれば頭の上から不機嫌に怒鳴りつけられて,かなりの心理的な圧迫が加えられます。言葉を思い出しながら発しようと苦吟しているとき,焦りは余計な重しになります。幼い心はオドオドするようになり,言葉が遅くなったり,ひどいときは吃音に行き着きます。ママは意識してゆったりしておかないと,子どもを追いつめてしまいます。

 子どものためを思って。ママの心配の種は尽きません。いちいち目を光らせていなければ,どうなるか気が気じゃないと思うのが親心ですね。どうして子どもっていけない脇道をわざと選ぶように入り込んでいくんでしょう。信じられない!? 子どもは無限の可能性を持っているのです。無限とは良くも悪くも一切合切全部です。いけないことをしたら痛い目に遭う,だからしなくなります。それが叱るしつけであり,許されないことに対しては厳しく接することが大事です。しかし,痛い目に遭うからと子どもを脅かして不安に追い込んでしまうことが日常茶飯事になっていませんか?

 人を思うがままに動かそうとするとき,手っ取り早いのが脅しです。嫌がる子どもを渋々でも従わせるには,怖がらせれば簡単です。しかし,それはしつけという養育上ではとても悪質な手抜きになります。手抜き工事の修復は高いものに付くというのは常識ですが,子育ての場面でも同じです。怖いからする,叱られるからする,叩かれるからする,不安だからする,それは昔は奴隷に対するしつけでした。いちいち監視され脅されてビクビクと不安な中では,いじけるしかありませんね。

 こんな子であって欲しいという願いが日頃の関わりを通してやんわりと突きつけられます。乱暴に言えば,しつけは型にはめこむことです。子どもは周りで用意された型に合わせないと居心地が悪くなります。自分は望まれていると感じるためには,型にはまらなければなりません。ところが,その型が子どもの実際の大きさに合わないことが多いのです。親が与える型はいつも大きすぎるのです。大きめの洋服を着せようとするのです。それをどうしてぴったりと似合わないのかと責められても,子どもにはどうしようもありません。でも,子どもは自分がいけないのだと思っています。



 最近,精神的に追い詰められて病院に来る子どもたちが増えたと慶応大学の先生が語っておられます。幼少期からスポーツ,塾,英会話,音楽など複数の習い事をしていて,摂食障害や不登校,原因不明のめまいや痛みなどに行き着いています。いろんな習い事をさせて能力を探し回らなくても,逆にあるときに何かをさせなかったとしても,しっぺ返しは来ず,必要なときにできることはできるようになるということです。多少早くてもそれだけのことです。

★落書き★

 暮らし方がコロナ禍のせいで変わってきました。変わったままになるのか,かつての暮らしに戻るのか,見通せないのが悩ましいことです。生活の意味でクラシといいますが,語源は「クラ(暗くなるまで)+する」意味の動詞クラスの連用形です。本来は日の暗くなるまで行動することです。これが「生計」の意味で使われのは中世の末で,生活費の意味で使われるのは江戸時代,現在では庶民の生活の意味で使って,「暮らし」と書いています。


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