*** 子育ち12章 ***
 

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「第 81-06 章」


『子育ちは 経験重ね 意味つなぎ』


■子育て12心戒■

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『子育て第6心戒』

【子どもの経験を無視しないこと!】

《まえがき(毎号掲載)》
 子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問題視座です。また,2つの領域とは,自分の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が羅針盤の基本的な考察の構成となります。
 この第81版では,子どもたちの育てに関わっている親御さんが心得ておいた方がよい戒めを「心戒」として考えてみることにします。何となくなるように育てればいいというのではなく,あるべき育ちに沿っていくことができるように,親は子どもの育ちを見守りつつ支えてやらなければなりません。心豊かな子に育ってほしいという親の熱い願いが時として過剰に子どもに向けられることがあります。子どもは今の自分ではどうすればいいのと問いかけています。子どもの育ちのペースに寄り添った親の支援になるために,親は自分の子育てを検証することが必要です。今すべきことか,相応しい程度か,順序に沿っているか,子どもの育ちを見極めて,それなりに指導や助言をすることになります。子育ての全体を見渡したポイントになる12の指標を参考にしてください。

《経験に沿う余裕!》
 小学校の先生が国語のテストに漢字の書き取りを出題しました。その中に「わんりょく」,「うもう」がありました。正解は「腕力」,「羽毛」です。ところが,一人の子どもが,「犬力」,「羽牛」と答えたのです。ワンは犬,モーは牛というわけです。先生は○も×もつけられずに,大きな☆をあげたそうです。余裕がありますね。それに☆印をつけてあげたところがうれしくなります。正誤の尺度から離れて,子どもが体験から絞り出した答えに敬意を表しています。

 犬の力,羽のある牛? 子どもはその答えを書くとき,何を思っていたのでしょう? 怖い犬の力=わんりょく(腕力),妙に頷いてしまいませんか? 羽のある牛が「ウモウー」と鳴きながら空を飛ぶ姿,ママが読んでくれた絵本に登場していそうですね。子どもは自分の体験を総動員して,言葉を紡ぎ出そうとします。言葉はイメージですから,見たり聞いたりしたことと直結します。○×の厳正な目は,子どもの豊かなイメージをあっさりと拭い去る消しゴムです。

 タケノコが竹の子であることは,竹林に入った経験があれば,その場のイメージとして記憶に残ります。食材としての皮付きの尖ったタケノコしか見たことがないと,理屈として竹と結びつけなければなりません。一目瞭然という学びもあるのです。因みに,タケノコはいつタケになるか知っていますか? タケノコの成人式はいつかということです。タケノコは筍と書きます。この字に含まれる旬とは,上旬などというときの旬で10日間という意味です。その頃に皮が剥がれて竹になります。

 小学2年生の子どもが,宿題の暗記が覚えられないと泣いていました。お父さんが,「お父さんの脳みそはもう硬くてだめだけど,子どもの脳みそは柔らかいから,何でも覚えられるから頑張れ」と励ましてやりました。一時張り切って覚えようとしていましたが,しばらくして「僕の脳みそ,柔らかすぎてはね返ってくる〜」と泣いていました。子どもは面白い言い方をしますね。柔らかくてはね返るとは逆のようですが,脳をゴムまりのようなものと思ったのでしょう。

 暗記をする基本は,書くことです。書くという動作と,書いた結果を目で見るということ,その二つがセットになって体験になります。体験とは自分の身体でしたことですよね。自分の手で書いたものをイメージとして捉えて記憶する,それが暗記なのです。口で唱えても,メロディがついていない音は簡単には記憶に残りません。学びがノートを取る形式を採用しているのも,記憶の助けになるからです。面倒なことをさせる,大事な体験をさせているのです。



 父親の育休がなかなか増えていかないようです。男性は多くが育休を取るのはいいことだと思ってはいるのですが,まわりの同僚や上司が迷惑に思うのではないかと遠慮をしているという調査があります。遠慮しなくていいという声が大きくなることが待たれます。ところで,育休するだけで役に立たない,かえって迷惑という声も出てきています。慣れない手つきを責めないで,親育ちを見守ってください。お願いしておきます。

★落書き★

 ひどい風雨に恐い思いをすることがあります。人との関係でも,ひどいことが起こってしまうことがあります。ひどい目に合わないようしたいですね。ところで,ひどいという言葉は何となく大和言葉のように感じてしまいますが,違います。中国語の「非道」に形容詞をつくるイを添えて語尾としたものです。むごい,残酷だ,程度が甚だしいといった意味です。非道は道に非ずで,道理に外れる,人情に外れる,常識に外れるといった意です。


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