*** 子育ち12章 ***
 

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「第 81-07 章」


『子育ちは そのときどきに 見え隠れ』


■子育て12心戒■

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『子育て第7心戒』

【子どもの力を見くびらないこと!】

《まえがき(毎号掲載)》
 子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問題視座です。また,2つの領域とは,自分の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が羅針盤の基本的な考察の構成となります。
 この第81版では,子どもたちの育てに関わっている親御さんが心得ておいた方がよい戒めを「心戒」として考えてみることにします。何となくなるように育てればいいというのではなく,あるべき育ちに沿っていくことができるように,親は子どもの育ちを見守りつつ支えてやらなければなりません。心豊かな子に育ってほしいという親の熱い願いが時として過剰に子どもに向けられることがあります。子どもは今の自分ではどうすればいいのと問いかけています。子どもの育ちのペースに寄り添った親の支援になるために,親は自分の子育てを検証することが必要です。今すべきことか,相応しい程度か,順序に沿っているか,子どもの育ちを見極めて,それなりに指導や助言をすることになります。子育ての全体を見渡したポイントになる12の指標を参考にしてください。

《受け入れてみる余裕!》
 こんなしつけは,案外とやられているのではないでしょうか? あるご家庭で,子どもの浪費を防ぐ意味で,「うちは貧乏だからお金がないんだよ」と教えています。ある日,一緒に買い物に行ったときのことです。4歳の息子さんが「ママ〜あれ買って」と言ったとき,7歳の娘さんがすかさず「うちは貧乏だから買えないんよ!」と叫びました。目の前の店員さんも,その場の空気も凍ってしまいました。ママは穴があったら入りたかったそうです。

 日頃からママの言って聞かせていることが,見事に子どもにしつけとして実現しています。貧乏とは思い通りにモノが買えないということだと,ちゃんと分かっています。お姉ちゃんも,その言葉を自分に向けてつぶやき,たくさん我慢してきたことでしょう。お姉ちゃんは弟に対しては,ママ代わりを務めるものです。その言動はママの生き写しです。しつけを手伝ってもらったら,ママも楽になるでしょう。でも,貧乏と大声で叫ばれるのは,ちょっぴり恥ずかしいかも? 大して気にせず明るく言い切ってしまえば,案外と開き直れるものですよ。無理は言いませんが?

 いつまでも子どもだと思っていたら,フイッと大人の痛いポイントをさりげなく突いてくるようになります。子どもはあらゆる面で未熟な子どもではありません。ある部分では大人を凌ぐこともあります。思いやりなど,大人も顔負けすることがあるでしょう。育ちは凸凹していると考えておいてください。特に生き方について,大人の夢や志などから見習おうとする時期には,かなり厳しい目を向けてきます。子どもに見られている大人,しっかりしなくては恥ずかしいですよ。

 休みの日にパパが,4歳の娘に「大きくなったら何になりたい?」と尋ねました。「ネコちゃん!」と嬉しそうに答える娘にちょっと頭がクラクラしましたが,気を取り直して,2歳の息子に「あんたは?」と聞いてみました。「ボクはねぇ,大人にはならないの。ずっと子どものままでいて,お母さんにお小遣いをもらって,一生遊んで暮らすの」。やっとしゃべれるようになったばかりで,そんな人生設計するか,と先行きの重たさを思い知らされたそうです。

 大人になりたくない子どもたち,遊んで暮らせることを願う子どもたち。増えてきました。苦労して手に入れるからこそ喜びがあるということを教えられていないのですが,かなりの程度は時代の特徴です。豊かさは遊んで暮らせることであり,子どもを何の苦労もない世界に追い込んで育てています。子どもは社会の試験紙です。自分の身をもって,社会や家庭の有り様を訴えてきます。これでいいんですよねと,人生設計の確認申請をしようとしています。許可できますか,それとも変更ですか?



 子どもたちにオンラインゲーム依存が流行しています。相談機関の方が「保護者にとって都合がいい面もある」と言われます。コロナウイルス感染防止で屋外で遊ばせられないだけではなく,友だち遊びをするとトラブルになることがあり,親同士にまで波及することも心配されています。子どもたちを親たちが見守って育てるという世界が消えていくと,子どもの心に人間らしさを引き出す「私たち」というパスワードが機能しなくなります。「私だけ」というパスワードで開ける世界はさみしいと思いませんか?

★落書き★

 私だけよければという世界では,よこしまな振る舞いが紛れ込みやすくなります。道理に外れて,正しくないことを「ヨコシマ」といいます。「邪」の字の訓読に使います。語源は「横+様」の「よこさま」が音韻変化して「よこしま」になりました。「縦を正として横を不正」と見る日本人の言語意識から生まれた言葉です。道に外れた邪悪という意味です。望ましくない言葉に感染しないためには,私たちという言葉のワクチンを摂取しておくことです。


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