*** 子育ち12章 ***
 

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「第 83-05 章」


『子育ちは 言葉を使い 分かり合え』


■子育て12心権■

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『子育て第5心権』

【意見を表す心権!】

《まえがき(毎号掲載)》
 子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
 この第83版では,子どもたちの心の育ちがどのようなものかを,総括しておきます。子どもは「育つ権利」があるとされています。それは生きる者としての身体的な育ちが必要であると同時に,人間としての心情的な育ちが十分に備わっていなければなりません。食べさせないといった身体的虐待は育つ権利の侵害であることは自明のことですが,無視するという心情的虐待が育つ権利の侵害になると気づかれ難い面があります。
 人として心豊かな子に育ってほしいという親の熱い願いが,子どもの育ちに寄り添った支援になるために,親は自分の子育てを検証することが必要です。子どもの育ちを見極めて,今すべきことか,相応しい程度か,順序に沿っているか,育つ権利に相応しい指導や助言をしていただくことを願います。子育ての全体を見渡したポイントになる12の指標を参考にしてください。

 《本を読むこと》
 これはなに? ものの名前を知ることから,言葉の獲得が始まります。花! どんな花? 黄色の花。色を表す言葉が必要です。大きさは? 小さい花。どれくらい? どう言えばいいのでしょう? 指でこれくらい。具体的な言葉の他に,抽象的な言葉や,感情表現も必要になります。本を読めば,場面が段階的に説明されているので,疑似体験をすることができます。体験を表す言葉が提示されているので,自然に表現の言葉を覚えていきます。覚えた言葉を使って自分を表現してみて,通じることを確認してみましょう。

 《聞かせる》
 親子の対話が必要だと言われます。それは分かっているのですが,どうすればいいのでしょうか? 最も基本的なことは,単語ではなく,文章で話を交わすことです。「宿題は?」。単語で言うと,どうしても命令調になってしまい,答える言葉は「はい」だけに封じられます。「宿題をする時間は大丈夫ね」。この程度の文章でも,子どもは時間を考えるという対応をすることができます。言葉を受け止めることができるように話す,それが聞かせる言葉遣いとなり,対話となります。言うことを聞かせるという支配型の単語調は禁物です。

 《話させる》
 子どもに十分に話させることです。大人は子どもの話を途中で分かってしまい,畳み込むことがあります。子どもが言い終わるまで,話を聞く姿勢を保つようにします。言葉が見つからずに言いよどむことがあるときも,ゆっくり話していいという笑顔を向けておきます。早く言いなさいと急かしていると,話すことを怖がるようになります。聞いてもらえるから,話す力が育っていきます。話すことは自分が見たこと,聞いたこと,考えたこと,感じたことです。何をどう考えたか,感じたか,その言葉の選択が自分を表現することになります。

 《主観性が育つ》
 意見とは,「私」の意見です。自分を大事にしようとするもう一人の自分が,自分をベースに置いた主観的な意見を主張することになります。自分なりの意見を持っていないと,自分がないことになります。私はこう思う,私はこう考える,それが自立することにつながります。話し合いの席で意見を聞かれて「分かりません」という返事は,自分を見失っているか,見るつもりがないか,その場での存在を自ら抹消することです。陰でしか話すことができないという情けない状況は,早く卒業しなければなりません。



 言語能力を獲得するプロセスは,「聞く−話す−読む−書く」の順序で進みます。学校では読み書きを勉強することになりますが,いきなりでは準備がないと無理です。勉強に入る前に「聞くと話す」という言葉をかなり習熟しておかなければなりません。赤ちゃんのときから,親は正しい言葉を聞かせることが大事です。いわゆる赤ちゃん言葉は間違った言葉を覚え込ませることになります。赤ちゃんが話す言葉は未熟で赤ちゃん言葉になりますが,ちゃんと話しているつもりなのです。

★落書き★

 子どもが好きなドーナツ。ドーとは,小麦粉を意味する「ダウ」,ナツとは木の実を意味する「ナッツ」。もともとのドーナツは,木の実大の小麦粉の塊を油で揚げたお菓子のことでした。1847年,アメリカのメイン州に住んでいたハンソン・グレゴリーという船乗りさんが,母親がドーナツを揚げているのを見て,真ん中に穴を開けるとまんべんなく火を通せて,真ん中が半生になることもなくなる,と思いついたのです。その形が広まっていったのです。


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