*** 子育ち12章 ***
 

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「第 84-01 章」


『子育ちは 自我の誕生 無事済ませ』


■子育て12確認式■

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『子育て第1確認式』

【自我=自分+もう一人の自分!】

《まえがき(毎号掲載)》
 子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
 この第84版では,子どもたちの育ちがどのようにあればいいのか,確認をするポイントを総括します。育ちには多様な属性が結びついて一体化する設計図とも言える様式があります。順序が違ったり,逆につながったりすると,本来の属性が機能せずに,育ちに不都合が織り込まれてしまうこともあります。
 人として心豊かに育ってほしいという親の願いが,子どもの育ちに寄り添った支援になるためには,日々の子育てを確認することが必至です。子育ての全体を見渡したポイントになる12の指標毎に属性のつながりを確認してみましょう。

《解説》
 母親に産んでもらった自分がいます。おっぱいを飲んで安らかに眠る赤ちゃんは,ママに頼らなければ生きていけません。あれこれをどうするか,決めているのは母親です。やがて,子どもは親の決めたことに「嫌っ」と逆らうようになります。自分のことは自分で決めるということです。決める自分をこのマガジンでは「もう一人の自分(子ども)」と言い表すことにしています。デカルトの「我思う故に我あり」の思う我,それをもう一人の自分とここでは言っています。自我は,自分ともう一人の自分からなると考えておきます。

《事例:親離れ》
 親の言いなりになっていると,子どもの自立を妨げるので,親離れをしなければなりません。特に母子密着が普通ですから,母子分離ということが必要です。それを促すのが父親の出番です。子どもに密着している母親を,妻として取り戻す役割が夫としての父親の役割です。親が子離れをすることで,子どもは親離れをすることになります。親離れをした子どもは,親の代わりにもう一人の自分を産み出します。子離れとは,第二の出産と考えることができます。

《事例:決定権》
 指示命令されると嫌なものです。人がもっとも大事にする権利は自己決定権です。親や大人から「○○しなさい」という指示を受けてばかりいると,子どもは言われるままになる気楽さに慣れて,言われないとどうすればいいのか分からなくなります。ママが言うからと行動を選んでいると,もう一人の子どもが育っていないことになります。もう一人の自分が自分の行動を決めることができないと,自立できません。過干渉を抑止して,もう一人の子どもに決める機会を少しずつ与えるように,任せていきましょう。

《事例:見立て》
 もう一人の子どもが成長してくると,自分を相対的に見る目を持つようになります。いつもパパとママの間で寝ている4歳の娘、「サンドイッチだね。パパとママがパンで、わかちゃんがハム!」と言っていました。ある日、出張でパパがいなくてママだけで娘を抱っこして寝た夜、「今日はホットドッグだね。わかちゃんはそーへーじ(ソーセージのこと)!」。自分をソーセージに見立てることができるのは,離れた所からもう一人の自分が自分を見ることができるからです。

《事例:名前》
 幼児に育ってくると,自分のことを名前で呼ぶようになります。自分を名前で呼んでいるのが,もう一人の自分です。人間は昔サルだった、ということを最近知った4歳の娘が、涙目で恐る恐る聞いてきた。「ねえママ…Kちゃん(自分のこと)生まれた時、サルだった?」。名前によって自分を認識することができて,さらにサルになった自分を思い浮かべることができるのは,もう一人の自分です。

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※もう一人の子どもを育てるのが,子育てです。生みの親より育ての親という言葉があります。自分を産んでくれるのが産みの親,もう一人の自分を産んでくれるのが育ての親と考えることができます。食べさせておけば育つという乱暴な言い方がありますが,それは目の前にいる子どもの育ちであり,もう一人の子どもの育ちは育てるという温かな関わりが不可欠になります。過保護や放任という問題は,もう一人の子どもの育ちに関わる問題なのです。



 人の育ちは自己実現を目指すものですが,社会の中での自己実現という条件があります。社会で生きるということを目指しているはずです。もう一人の自分は自分だけを見つめてばかりはいられません。皆の中の自分という世界観を確立しておくことが社会性の基盤となります。社会性,それは人の間と表記する「人間」として生きていく必須の属性です。

★落書き★

 子どもたちには,お茶を飲むという経験が少なくなっているのでしょう。急須という道具があります。急という字はなぜなのでしょう。急いでいるときにお茶を飲むことはないでしょう。お茶はゆっくり飲むものですから。急須は中国語では煎茶器を表す言葉ではなく,酒の燗をするために使った小さな鍋のことで,急須の「須」は「用いる」という意味で,急須とは酒を温めるために急場しのぎに用いるものという意味でした。取りあえずの道具だったのです。


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