*** 子育ち12章 ***
 

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「第 87-01 章」


『子育ちは 直ぐに反応 もう一人』


■子育ち12基礎力■

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『子育ち第1基礎力』

【反応力を身につけよう!】

《まえがき(毎号掲載)》
 子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
 この第87版では,子どもが育ちによって身につけていく能力の全体を考えていきます。人の育ちは複合的な能力を過不足無く獲得しなければなりません。もちろん特別な能力を伸ばすことも大事ですが,人間としての基礎的な能力が生きていく基盤になります。育ちのペースは子どもそれぞれに違いますが,成人までにはすべての力をそれなりに獲得できるように,側にいる大人がちゃんと導いておくようにしましょう。

●《反応》場の空気を読むということがあります。自分を押し出していると,場を白けさせます。それを感じ取ればまだ救われますが,全く気付かないとやがてはじき出されていきます。場の流れ,その場にいる人それぞれの状況を判断し,自分の言動を調整する反応が求められます。状況に相応しい反応ができるためには,自分を相対化する必要があります。つまり,もう一人の自分が,自分と他者を対等に意識して,今必要な共通認識を探り当てればいいのです。反応とは相手との真摯な関わりです。

●《確認》社会生活においては,お互いに分かり合うことが必要です。そこで対話や協議などの場が持たれます。分かり合う作業は,一方が意見や考え,思いを表明し、他方がそれを聞き取り,共鳴したり,反論したりして,すり合わせていきます。その際,きちんと聴き取るために,確認をしなければなりません。それが分かったといううなずきです。同意ではなく,理解したという聞き取りです。「あなたの言い分は分かった」,それが相手と自分を対等に扱うもう一人の自分の役割です。

●《疑問》想定外ということがあります。そんなこと考えたこともない,思いもしない,信じられない,といったことがあります。それは何?,どういうこと?,なぜ?といった疑問が浮かぶはずです。その疑問が解けなければ,自分がどのように反応すればいいのかを判断することができません。問いかける必要があります。「分かるように説明して」という聞き返しです。子どもにとっては,この聞き返しが大事です。自分が知らないことがあるという自覚,その謙虚な自意識を持てるのがもう一人の自分です。

●《反論》人は育ちや経験などいろんな面で違います。嗜好などはそれぞれ違っていてもいいのですが,共同すべき面では違いを排除する必要も出てきます。ある人の意見に反論をぶつけることもあります。それぞれが活かされる折り合いに向けて,智慧が持ち寄られます。多数決という次善の方策も持ち込まれ,皆で決めたことに従うという場合もあります。大同小異ということで,自分を抑えながら,自分を活かしていくという際どい生き方を可能にするのが,もう一人の自分の反応力です。

●《展開》三人寄れば文殊の知恵といわれます。二人では2倍の智慧,三人ならば3倍の智慧が期待されるという,単純な積み上げではないと思います。二人では智慧の対立が起こります。三人目の人が登場することによって,智慧の仲裁,すなわち智慧の展開が可能になります。ヘーゲルの弁証法における正反合というステップを実現する機構が三人寄るということでしょう。社会の基本単位が三人であることと符合しているはずです。自分と他者と,もう一人の自分(自我),その構図も三人です。



 子どもから「大きくなったらお父さんみたいになりたい,お母さんみたいになりたい」と言われていますか? よそのお父さんやお母さんみたいになりたいと言われたらイヤですね。昔から,この親にしてこの子ありとか,蛙の子は蛙などと言われていますが,一方で鳶が鷹を生むということも言われます。端からは親子が一緒に見られているので,なんとなく気をつけなければなりませんね。

★落書き★

 中学校の理科の時間に,微生物の研究でよく登場するのがゾウリムシです。草履とそっくりの形だから名付けられているのですが,草履のない欧米ではどう呼ばれているのでしょう? 面白いことに,草履がない国では代わりに「スリッパ」という名前が当てられています。英語では「スリッパ・アニマル・キュール」で,スリッパの形をした小動物となっています。フランス語では,スリッパを表す言葉がそのまま,ゾウリムシの名前になっています。


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