*** 子育ち12章 ***
 

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「第 88-01 章」


『子育ちは 先ず考えて 動き出す』


■子育ち12信条■

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『子育ち第1信条』

【熟考してから判断をする!】

《まえがき(毎号掲載)》
 子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
 この第88版では,子どもが育ちによって身につけていく能力の具体的な形を考えていきます。人間としての複合的な能力を過不足無く獲得しなければなりません。もちろん個性的な能力の伸長は大事ですが,人間としての基礎的な能力のバランスが生きていく基盤になります。能力獲得のペースは子どもそれぞれに違いますが,成人までにはすべての力をそれなりに獲得できるように,側にいる大人がちゃんと導いておくようにしましょう。

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●人にはものを考える能力がありますが,思考はともすれば発散することがあります。あまりにも考えすぎると臆病になることがあります。引っ込み思案の子どもは,考えなくていいことまで考えて,身動きがとれなくなります。そのような自分を悔やんで落ち込むと自己破壊的になるかもしれません。人は思い通りにならないこともあって,問題に直面します。そのときに考えるという回路が立ち上がります。時として,問題の解決を考えるのではなく,問題があることを考えて思い悩むことがありますが,それは考えるとは言いません。

●子どもの下校時に見守りをしていると,注意不足が目につきます。おしゃべりに熱中して,自分が今危険な道にいるという気配りが全くできていません。いきなり飛び出していきます。慣れた通学路なので,周りの状況に注意をするという緊張感が薄れているのでしょう。自分の身を守る用心が疎かになっています。大人は子どもの安全を確保しますが,現実的に100%の安全は不可能です。子ども自身が自分の状況をきちんと考えて安全確保の判断をしなければ,結局は危害を受けるのは子ども自身になります。

●普段し慣れていることをするときは,何も考えません。未経験な新しいことをするときに,人は考えます。ところで,するかどうかを考えると,ほとんどの場合にやめておく理由を考える傾向があります。考えるとは,実現する方策を考えることです。しない理由を考えても言い訳に過ぎず,意味がありません。新しい行動につながるように考える,それが熟考することであり,考えた方策に沿って実行しつつ,その成り行きをよく見極めて,考えの正否を判断するようにします。

●子どもの時は,親や大人に「しなさい」と命じられて,しぶしぶすることが多いでしょう。うまくいかないときには,無理なことをさせる大人を責めるようになります。それでは良い経験にはなりません。しなさいと言われたとき,言われたからするのではなく,しなければならないわけとか,したらどんなことが待っているのか,一度自分で考えてみるようにします。自分で考える手続きを踏むと,自分がしようと判断したことになります。考えることによって,自分の行動が自分の経験になります。

●物事を考えるためには,物差しというか,基準というか,メガネというか,拠り所の自覚が不可欠です。子どもについてよく話題になるのが,虚実の逆転です。例えば,テレビが伝えることは世間では珍しいことです。それを世間一般のことと勘違いすると,判断を間違えます。大人はみんな悪いことをしている,と子どもは言います。テレビで報道される悪い人は特別な人であり,世間の大人はほとんどが真面目なのだという実態を正しく認識させなくてはなりません。

●考えて判断するときに,絶対という言葉を使わないことが賢明です。熟考するために用いた情報は全部が揃っていなかったり,曖昧な部分が紛れ込んでいたりするものです。そこからでてくる判断も幾分かは曖昧なものになります。想定外という言葉があるのは,思いもよらないことが紛れ込むということです。判断したことがとりあえず今の時点での次善のものと見切り,想定外のことに対する備えをしておかなければなりません。また,絶対とか,完全ということはあり得ないと思っていれば,判断に余裕が生まれます。



 今号から「子育ち12信条」の版を始めます。子どもの中にいるもう一人の子ども,自我という存在が自分を支配できるようになることが,自立するということです。言われてするのではなく,自分のことは自分で決める,それが人としての尊厳です。自分で決めるためには,自分で考える力を養わなければなりません。そのためには,考える習慣を身につけてよい経験を重ねる必要があります。親の思う通りに育てようと,子どもの自我を追放しないで下さい。

★落書き★

 マラソンの距離は42.195kmです。1908年に開かれた第4回オリンピック・ロンドン大会の距離を採用したものです。新しくマラソンコースを設定するときは距離を測らなくてはなりません。日本では,道路の左側の路肩から1mの所を走る方向に沿って測ります。使用するのは50mのスチール製のメジャーです。全コースを計測するためにはメジャーでの計測を800回以上繰り返すことになり,かなりの苦労があるそうです。

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