*** 子育ち12章 ***
 

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「第 88-08 章」


『子育ちは アリガトウ聞く うれしさを』


■子育ち12信条■

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『子育ち第8信条』

【親切な行動を持続する!】

《まえがき(毎号掲載)》
 子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
 この第88版では,子どもが育ちによって身につけていく能力の具体的な形を考えていきます。人間としての複合的な能力を過不足無く獲得しなければなりません。もちろん個性的な能力の伸長は大事ですが,人間としての基礎的な能力のバランスが生きていく基盤になります。能力獲得のペースは子どもそれぞれに違いますが,成人までにはすべての力をそれなりに獲得できるように,側にいる大人がちゃんと導いておくようにしましょう。

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●親切にされたら「アリガトウ」といいます。でも,して貰わなければ,してくれないと周りを恨むようになります。アリガトウは待っていなければならない言葉なので,自分から始めることができません。やがて,待ちくたびれて,我慢できなくなって,ついには奪うようになります。そうするしか選ぶ道がないからです。親切にしてもらうためには,甘える手があり,幼い子どもは自然に覚えて上手に使います。ただし,その手は甘えが許される間柄でしか通用しない,きわめて限定的な手立てです。

●子どもは親切にされる立場にいます。そこにいても,親切にする立場を経験するように仕向けることが子育てです。お姉ちゃんやお兄ちゃんの立場がなくなったことが,親切な行動をする経験を奪ってしまいました。親切な行動は「どうぞ」の言葉で始めることができます。見ず知らずの人にも,「どうぞ」と道を譲ることができます。もしも譲って貰いたいと思っている人同士であれば,ぶつかるだけです。アリガトウしか知らないから,トラブルになります。トラブルのない優しい社会,それは「どうぞ」が溢れている社会なのです。

●動物を飼うといった経験をする子どももいるでしょう。犬を飼って世話をすると,犬は懐いて喜びます。喜ぶ様がアリガトウに聞こえて,可愛くて,世話という親切をすることがうれしくなる経験をします。人はアリガトウと言われる喜びを知ったとき,社会人になります。ところで,世話は面倒でもあります。親切はわざわざしなければならないことでもあります。しない方が楽です。それでも親切にしようと思いきったとき,わざわざしてくれているという感謝がアリガトウの言葉に込められて,人は温かなつながりを結びます。

●子どもには,親切のやりとりに含まれる心情的な喜びを感じることが難しいかもしれません。そういう場合には,「損して得取れ」という言い伝えられている言葉があります。得を先取りしようとするとうまく行かないので,先ずは自分が損になっても相手に得を与えるようにすると,きちんと得が返ってくるという世間知です。親切にすることが損しているようであっても,結局は得をする確実な方法であるということです。損得勘定で親切を教えるということも,ある時期の理解を助ける方便として役に立ちます。

●幸せになるための究極の秘訣は,人に親切にすることです。無理をしてでも人に親切にすると,いい気分になり,生きていると抱え込んでしまう罪悪感や精神的苦痛などネガティブな感情を打ち消すことができます。親切という行動をとると,気持ちはすぐに前向きになってきます。親切心を育てるための一つの訓練は,いろいろなボランティア活動に参加することです。周りにいる人の中に,手助けを求めている人がいたら,ドウゾと声を掛けましょう。これ以上有意義な時間の使い方はありません。

●親切な人,面倒なことを引き受けてしてくれる人,そんな人がいなくなった,甘ったれの社会になりました。地域や組織で,世話役を引き受けることを拒否する人しかいなくなってきました。持ちつ持たれつなのに,持たれることしか望まない人は,厄介者です。そう思われるのが嫌だからと,つながりを断って,引きこもっていきます。幸せになることに背を向けているということが分かっていません。気が楽という状況の中には,幸せはなく,虚しさが渦巻くのみです。親切な後ろ姿を子どもに見せている皆さんが,本物の親なのです。



 今の社会に求められるものが「絆」と気づいて,あちこちで絆づくりが謳われています。絆とはその辺に漂っているものではなく,すべての人がその気になって作り出すものです。安心できる絆のある社会は,いざというときに,助け合える社会です。その基本形は,ドウゾ・アリガトウの言葉のセットです。物の豊かさを求めるとき,それは受け取るアリガトウの豊かさでした。心の豊かさは与えるドウゾの豊かさです。どうぞの言葉を再興しなければ,絆づくりは実現しないでしょう。子どもの住むことになる社会の基礎作りです。

★落書き★

 ちりめんじゃこは稚魚ですが,大きくなったらどんな成魚になるのでしょう? カタクチイワシ,マイワシ,シラウオなどです。チリメンジャコはカタクチイワシなどの稚魚を煮てから,天日に干して作ります。このときの形が,織物の縮緬のシワに似ていることから,チリメンジャコという名前がつきました。タタミイワシやシラスも,原料はチリメンジャコと同じで,加工法が異なるだけです。

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