*** 子育ち12章 ***
 

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「第 94-10 章」


『子育ちは できる自分を 期待して』


■子育ち12態様■

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『子育ち第10態様』

【子育ちは,明日の自分に焦らずに期待し続ける】

《まえがき(毎号掲載)》
 子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
 この第94版では,こどもが育っている態様を説明しようとするとどうなるかを考えます。こどもには健全に育っていってほしいと願いますし,幸せに生きていくことができるように育ってほしいものです。何となく育っているように見えても,生きる喜びを掴まえられる脳力を身につけて欲しいのです。健全な育ちを実現する羅針盤として具体的な育ちの全方位を見届けることができるように確認していただけたらと思います。

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《何故育つのか?》
 大人はもちろんですが,子どももそれなりに目標を持っています。ここで,目標について押さえておくことは,現在の目指すべき目印であるが,決して結果ではないということです。例えば,歌手になるために,毎日発声練習をすること,それが目標です。歌手になることは目的であり,想定する結果です。目標を積み上げて目的に近づくという流れです。目標は,今の弱い自分でも出来ること,可能性のあること,だから努力することができるのです。元気な子になるには,まず外に出よう,胸を張ろうという目標を目指すのです。
 できるを「出来る」と書くと,工業製品=物等が出来るということになります。物作りでは効率,時間短縮が目指され,ハヤク,チャントと急かされます。子どもが力を育てる,「できる」ようになるというのは,モノ作りとは違って,作物などが育つのと同じです。じっくりと待つ時間が必要であり,非効率なものです。イネが土と水と太陽という環境の助けと,植物そのものの生理が活動するように,子どももできるようになるまでの待ち時間が必要です。
 仏眼という言葉があります。仏という字を気にせずに,意味だけを学びます。相手と一緒になって,相手の立場から見ることを意味します。対する肉眼とは,自分の欲望の眼で見ることです。テストの結果に,母親が「30点しか取れなかったのね」とがっかりすると,男の子が「違うよ,お母さん,ぼくは30点も取ったんだよ」と言います。息子が一生懸命にやって30点取ったとき,「30点も取ったね」と共に喜ぶことが仏眼です。「ここまでできるようになった」という達成の喜びが,期待を沸き立たせてくれます。
 やる気をつぶす10か条というのがあります。
     (1)自信・希望を無くされている
     (2)親の価値観を押しつけられている
     (3)「爪の垢でも」と,比較されている
     (4)「ハヤク,サッサ」と,急かされている
     (5)「余計なことはしない」と,体験を禁止されている
     (6)無視・無関心にされている
     (7)「当たり前」と,価値を認められていない
     (8)進歩を認められていない
     (9)取り柄を認められていない
     (10)欠点・短所をいつも言い立てられている

 かつての中学生の川柳があります。
  《一日が 暮れりゃ寝るだけ 明日が来る》,
  《昨日生き 今日も生きてる 明日もたぶん》
 お尋ねしますが,「夜,寝るとき,明日の朝起きるのが楽しみですか?」
「楽しみ」と答えられるとすれば,きっと幸せです! 楽しみであるとは,スルコトがあることです。明日の自分を期待できるから,幸せ感が生まれ出てきます。スルコト=段取り!=目標と考えることができます。目標という具体的なできる期待,それが有るから育ちたいと願うのです。



《どのように育つのか?》
 今のスポーツ団体は昔と違っています。例えば,少年野球チームでは,野球の上手・下手という判定だけがあり,落ちこぼれたら救えません。昔の草野球チームでは,野球以外に,グラウンド整備,マネージャー,場所取り,相手交渉など,スルコトが豊かにあり,選手から外れた子どもは,その中で役割を持つことができました。仲間で有り得たのです。今はその辺の雑事を大人が取上げてしまい,子どもにさせていません。子どもを育てることを想定していないからです。

★落書き★

 以前にあらいぐまラスカルというアニメがありました。水辺でエサを洗っている姿が愛らしいと思われています。実はエサを洗っているわけではありません。アライグマは雑食性で何でも食べる動物です。主に指を使って獲物を獲り,手で食べ物を掴んだまま二本足で歩き回ることもあります。アライグマはあまり視角がよくないため,前足を水中に突っ込んで獲物を探るのですが,その姿が手を洗っているように見えているのです。

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