*** 子育ち12章 ***
 

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「第 96-07 章」


『子育ちは できないことが できるよう』


■子育ち12視標■

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『子育ち第7視標』

【辛抱あり】

《まえがき(毎号掲載)》
 子育て羅針盤では,こどもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
 この第96版でも,これまでの流れに沿って,子ども自身や親が育ちの確認をしていくときに,見えて感じることができる視標という面から育ちを考えていきます。それぞれの完成度に違いがあってもそれは個性になり,一応の評価ができるようなら,幸せに育っているということができます。子どもの育ちは見えにくいものですが,羅針盤としての全方位を見届けることができることを再確認していただけたらと思っています。

《何が育つのか(私の育ち)?》
 厚生労働省は令和3年10月,2018年3月に大学などを卒業して就職した若者の3年以内の離職状況を公表しました。3年以内の離職率は大学卒が31・2%,短大卒が41・4%,高校卒が36・9%であり,いずれも例年に比べて数値は低下していますが,大勢は変わっていません。理由はいくつか挙げられるようですが,その一つに辛抱するという対応ができなくなっていることが考えられます。自分の思っていた職場とは違うという現実からさっさと退出しているのです。自分の思い通りにならないことに直面する体験がないために,耐えることを知らないのです。

 もう一人の自分が,自分は何でもできるはず,自分の思い通りになるのが当たり前と思い込んでいると,できない自分を認めることは許されないことです。そこで,できない自分を思い知らされる場からすぐにでも脱出しなければなりません。自分を受け入れない方が間違っていると,他を責めるようにもなります。自分の完全性を糊塗するために人のせいにすることの卑怯さを,親はきちんと教えなければなりません。自分の弱さに向き合うという辛抱をすれば,弱さから始まる確かな育ちができるようになります。

 成長するという過程の中に,辛抱というステップが組み込まれています。幼い全能感,自分は何でもできるはずという思い込みを脱して,現実の自分の限界,弱い部分を素直に認めて,努力を重ねていこうとする辛抱が,人を育てます。辛抱するというのは諦めではなく,諦めないで育とうとする覚悟なのです。自分の弱さを見つけたときに,そこに今の自分の育ちの課題があると受け止めるべきです。育ちのチャンスなのです。何が育つのか,それは今の自分の弱さとして現れているのです。



 子どもの育ちの基本形は,繰り返すことです。歩き出すときも,言葉を覚えるときも,何度も何度も繰り返します。決して諦めてはいません。諦めたら育ちは止まるからです。練習という字は習いを連ねることです。連ねている間にもう一人の子どもが辛抱という応援をしています。成長するにつれて,育ちの課題は難しくなります。辛抱の程度も大きくなります。そこで励ましという子育ての出番があります。今の努力を続けるように,それが頑張れという応援の意味です。

★落書き★

 缶ビールなどの容量はリットルやミリリットルで表示されています。一方で缶入りのコーヒーやお茶の容量はグラムで表示されています。それぞれの製造業界の慣習でしょうか? グラム表示の飲料は,90度前後に加熱されて缶に詰められるため中身が高温で膨張しています。容量をリットルなどの体積で表示すると,冷めたときに表示より実際の中身が少ないという現象が起きてしまいます。重量なら,熱くても冷たくても変化しないので,グラム表示されているのです。ビールなどは10度以下の状態で缶に詰められているので,容量が変化することはありません。

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