*** 子育ち12章 ***
 

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「第 97-05 章」


『子育ちは 今を大事に 掴まえて』


■子育ち12鍵語■

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『子育ち第5鍵語』

【現在】

《まえがき(毎号掲載)》
 子育て羅針盤では,こどもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
 この第97版でも,これまでの流れに沿って,子ども自身や親が育ちの確認をしていくときに,思考を開く鍵となる語を使って育ちの状況を展望していきます。今現在それぞれの育ちの度合いに違いがあってもそれは個性になり,達成度の評価ができるなら,幸せに育っていると考えることができます。子どもの育ちは見えにくいものですが,羅針盤としての全方位を見届けることができることを再確認していただけたらと思っています。

《現在とは?》
 人は暮らしの中で言葉を使っています。言葉には書き言葉と話し言葉があります。話し言葉は聞く言葉と対になって,対話を構成します。いつやる? 今でしょ! 話し言葉を使っているのは,今現在であり,生きている瞬間です。生きている今だから,おしゃべりをして,生きる歓びを感じることができます。人と話していると,知らなかったことを教わることがあり,言葉という形で学びが進みます。一言で人生が変わることもあるほど,言葉は成長の大事な糧になります。

 学校の授業で新しい言葉に出会います。ぼんやりしていて言葉を掴み損ねると,言葉が通り過ぎて,学びは流れ去ります。学びは生きている今一瞬の掴みにかかっています。かつて今でしょ!という言葉が流行りましたが,ただの流行言葉として,その大事なメッセージを聞き逃していると,学びの機会に気付かないことになります。知識に限らず,今現在進行している経験こそが,育ちの営みです。後でまとめて学ぶということは,あり得ないのです。生きている瞬間が学び,育ちのときです。

 目を覚ましている間,人は外界からさまざまな刺激を受けて,反応しています。心地よい刺激,嫌な刺激,何の感慨もない刺激,それぞれに反応している自分を,もう一人の自分が見ています。ケーキは美味しいと感じている自分に気付いて,もう一人の自分が自分が好きなものとしてケーキを覚えていきます。何が好きと聞かれて,ケーキと答えるのは,もう一人の自分です。もしももう一人の自分が現実ではないゲームにのめり込んでしまうと,虚像の自分に目をくらませられて,実際の自分を見失うことになります。



 かつて,ある大学の女子学生が,「人を殺してみたかった」とお年寄りに襲いかかった事件がありました。頭の良い子のようですが,人として何かが欠落しています。今という一瞬の時を自分の現在に向けていなかったことが考えられます。現にあるがままの自分を見ずに,映像や虚像の世界に遊びすぎて,人としての自分を見失ったせいで,人そのものが分からなくなったのでしょう。人を殺すことと自分を殺すこととが結びつかない,自分が人であることが分からない,そういうもう一人の自分を育ててしまったのだと思われます。

★落書き★

 ごま塩はごまと食塩と混ぜればできるでしょうか? 実際にそうしても,うまくいかないはずです。物事は思うだけではできないのです。塩は重くて粒子が小さく,ごまは軽くて粒が大きいために,シャカシャカ振って混ぜようとしても,塩が下に沈んでごまは上に集まります。市販のごま塩はうまく混ざっていますが,工夫がされています。デンプンと水を混ぜた液の中に塩を入れて食塩の小さな粒子を結集させて,ごまくらいの大きさにしてあります。こうして大きさと重さがにているようにすると,うまく混ざるのです。

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