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「第 99-10 章」 |
『子育ちは 今すべきこと 着実に』

■子育ち12美醜■
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『子育ち第10美醜』
【怠惰】
《まえがき(毎号掲載)》
子育て羅針盤では,こどもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
この第99版でも,これまでの流れに沿って,子ども自身や親が育ちの確認をしていくときに,状況を特徴付けるキーワードとなる語を選んで育ちを展望していきます。ただ構成上に変化を繰り入れます。奇数号では美しい育ち,偶数号では醜い育ちという配置をします。育ちがずれていかないためには,避けるべきことにも目配りをしておくべきです。予め注意すべきことを知っておくと,安心することができるはずです。
《怠惰とは?》
怠惰とは,「すべきことをしないで,無駄に時間を過ごしている様子」とあります。すべきことが見えていないと、始まりません。育ちにおいてなすべきこととは,どういうことかを知っている必要があります。具体的にこれということではなく,今なすべきことは,目の前にあることです。授業の前にすべきことは,教科書やノートを開くことです。帰宅してすべきことは,手を洗いうがいをして,宿題を済ませることです。夕食の時は,お母さんのお手伝いをすべきです。今なすべきことに取り組むだけでいいのです。
時間は限られています。今日という時間は,十数時間しかありません。運動や技芸などの分野で,こつこつ練習している子とぼんやりしている子の力には歴然と差がついてきます。それは育ちという面でも同じです。すべきことをしている子は,日々着実に成長していきます。逆に,失った時間を取り返すことは不可能です。子どもの成長はその年齢に応じたすべきことがあります。それを欠くと,その後の育ちの土台がないので,成長は停止します。ある段階で分からなくなった教科のその後が意味不明となるのと同じです。
すべきことが分からずにぼんやりしていると,親や先生からあれやこれやすべきことを指図されて,渋々することになります。その強制は最初だけに止めて,成長に合わせて子ども自身が見つけられるように,任せていくことが大切です。念のためにお願いしておきますが,遊びの時間が無駄だとは思わないようにしてください。すべきこととは,育ちについてすべきこと,遊びも含めて,習慣,見方,考え方,つきあい方などのあらゆる面についての課題と考えるべきです。勤勉な姿勢で今この時の育ちに向き合えるように導いてください。
いじめという局面で,最も危惧すべきことは,いじめられている子を孤立させることです。いじめをしないで傍観する子どもたちが多数いるはずです。いじめられている子どもにとっては,傍観する子どもたちもいじめへの加担者になります。誰一人自分とつながってくれない,一人ぼっち感が最も辛い仕打ちになり,絶望をもたらします。たった一人でも勇気を出して普通につながってくれる友達がいさえすれば,追い詰められなくて済みます。無為のいじめがいじめの仕上げになるという恐ろしさを知っておいてください。
★落書き★
アリの社会では,働きアリの2〜3割が働かないアリになり,また働いているアリだけのグループを作っても,必ず2〜3割が働かないアリが現れることが分かっています。アリの社会でもサボるアリがいると思われていました。ところが,2016年に北海道大学の研究チームが発表した研究で,これらの働かないアリは,ほかのアリが疲れて動けなくなったとき、代わりに仕事をすることが判明しました。すべての働きアリが疲れて動けなくなってしまうと、大事な卵の世話が滞ってしまいます。そこで交代要員を一定数確保して滅びるのを防いでいるのです。
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