【第3章】対話の感動

〜あなたのお子さんは,正しく話していますか?〜

 《3.5》 いつ育っているのですか?

 子どもが何気なく手伝いをすると,母親が「珍しいわね,明日雨が降るんでは?」と茶化し,プラスの意味を認めようとしていません。育ちのチャンスを逃がしています。母親がニコッとして「アリガトウ,助かったよ」としっかり受け止めてやるべきです。そうすると行為が認められ,「してよかった」と印象づけられます。ほめられたこと,喜ばれたことなど,他との関係の中できちんと印象づけられるとき,育ちが確実に一歩進みます。
 弟や妹が「お母さん,お兄ちゃんが塀に落書きしているよ」と告げ口をしに来ると,親は「いけないね。後で叱っておきましょう」と受け止めます。子どもはお兄ちゃんを叱って欲しいとは思っていません。子どもは意地悪な告げ口をしているのではないのです。親が「そう,でもあなたはしなかったのね,偉いね」と言ってやれば,子どもは「分かったんだね」と喜びます。自分も塀に落書きをしたかったけど,もう一人の自分が我慢させ,その健気さを分かって欲しいだけです。もう一人の子どもの感じているストレスを受容によって解放してやれば,我慢した甲斐があり,喜びの育ちをします。

答 「行為が共感の言葉で受け止められたとき,確かな育ちの一歩を踏み出します」