【父親と母親】
10.子どもを殴りたく?
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1.よくある 2.ときどきある 3.あまりない 4.まったくない
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「殴りたくなることがある」割合は,父親が42.6%,母親が48.9%であり,母親の方が高くなっています。初回から前回にかけて減少しましたが,今回は増加傾向に反転していることが気になります。
男女別では,父親が男子に44.7%,女子に40.8%,母親が男子に48.8%,女子に49.1%であり,父親の男子に対する割合が少し高くなっています。
学年別では,母親が1年生に対して割合が多くなっています。
校則違反の服装髪型や親への言葉を注意している両親は,殴りたくなることが多いようです。またよその子やきょうだいを引き合いに出したり男女差や忍耐をしつけている両親も,殴りたくなっています。さらに子どもの反抗や登校渋り,生活の乱れやだらしなさを悩んでいる両親が,ついそう思ってしまうのは分からなくもありません。
親が殴りたいと思う子どもは,言われるから勉強し,当番をしない,手伝いをしない,積極性が見られない,学校に行きたくないと思うような中学生です。また家庭生活に満足していない,親を勝手だとか,口うるさいとか,放任していると思っている子どもも,親に殴りたいと思われるようです。親子関係の修復はやはり親からし始めなければなりません。
殴るというのは何事かを叱る,制止する最後の手段です。悪いことをしでかしたから殴るというのであれば,三分の理もあるでしょう。ところが親はよいことをしない子ども,親の指導に従わない子ども,すなわち普通の子を殴ろうと思っているケースが見えます。叱るということと合わせて,何を叱り殴ってでも止めるべきかというしつけの意味を明らかにする必要があります。
平成5年には,両親ともに「殴りたいと思うことがある」という割合は減っています。望ましい傾向ですが,子どもに対するひたむきな思いが薄れた結果であれば心配です。子どもが親の期待に添ったちゃんとした(?)育ちをしているから,親も殴りたくなることが少なくなったのでしょう。ただその後の子どもたちの状況から見ると,そうではなかったのではないかという思いがしてなりません。子どもが親に見せる姿を上手に演じていたのかもしれません。