*****《団体・グループの運営の窓》*****

【指導者の忘れもの】

 [3]組織を私物化するな!

 「幹部・担当者に任せているか?」
 組織を私物化しようなどと思う人はいないでしょう。自分は常に公明正大に運営していると自負しているはずです。しかし,やり方がまずいと他人から私物化しているように見られ,しかもそのことに指導者は全く気づかない場合があります。
 指導者になると責任を自覚させられます。自分がしなければならないと追い込まれます。そこに落とし穴があります。簡単に言えば指導者は文字通り指図だけをして,実際は担当幹部に任せることです。指導者が自分で全部やってしまったら,幹部はする事が無く,やがて指導者が組織を私物化しているような印象を抱くようになります。任された部分がないと,いちいち指導者に聞かないと分からない状況が生まれ,幹部のやったという達成感が消えてしまいます。同時に指導者は自分ばかりが忙しいと内心で幹部を責めたくなります。組織は皆で運営するものです。任せられて責任を果たしてはじめて一員になれます。指導者は最初の方向付けをし,途中の実務は任せきって,終わりの確認をとればいいのです。もちろん全体の責任は指導者が負います。たとえ不具合があっても決して担当者の責任を追及しないことです。自分たちの責任を一手に引き受けてくれる指導者に,人は心酔してついてきてくれるものです。

 「必要な情報を与えているか?」
 指導的な立場にいると,さまざまな情報が手に入ります。指導者はまずその情報の整理をして,運営に必要なものを選び出します。ポイントを書類にして実務担当者に配ります。そうすることで手放すことができます。口頭での指示には必ず落ちがあります。なぜなら指導者はすべて知っていますのであれこれ伝えたつもりですが,聞く方は言われたことしか知りません。後から「言ったはず」,「聞いていません」という事態が生じます。書類やメモにすれば落ちがないか確認できます。指導者が自分でするつもりで必要なことをメモすればいいでしょう。
 運営の実務を任せることが,開かれた運営です。同時に後継者の養成になりますし,何より指導者に余裕が生まれます。全体に目配りするためには,一つのことに係っていてはいけません。それぞれの担当が順調に進んでいるか,何が問題か,対外的な手抜かりはないか,不測に事態に備えて手はずが整っているかといった点を考えるのが指導者の実務だからです。組織全体を守る陰の役割に徹していれば,頼りになる指導者になれます。

 指導者は目立たないことです。指導者を助けてあげられたという思いを実務担当者に提供しましょう。そうでなくても指導者は立場によって目立っているのですから,デンと控えていればいいのです。動きすぎる指導者は嫌われないまでも,感謝はされません。たとえ皆のためにと買って出たとしても,逆効果です。私物化していると思われかねません。組織そのものが魅力を失います。