HOME                                       <前のページ >   次のページ >


まだ朝も暗いうちから起きて身支度をして、
わくわくしながら朝食のスタートを待ちます。
朝食はチャーチに用意されているらしい。教会に?

重いドアをあけると、ホントに教会にテーブルが用意されてます。
宿の人はいないので、カウンターからパンやチーズ
果物や飲み物などを勝手に食べます。

チーズはラスケーラ、ゴルゴンゾーラ、ロビオラの三種類。
好きなだけ切ってお皿に乗せます。
こういう時、見ただけでチーズの名前が
すぐ分かる私たちで良かったなぁと思う。

 

タクシーのロベルトの車でアルバまで行き、
ローカル線で9時23分ブラに到着

ブラは小さな駅です。

金曜日でまだ時間も早いためか、
観光客もまばら。

入り口のインフォメーションでマップをもらい、
一番近いブースに入ってみましょう。

 

これ、キノコじゃありませんよ。
すべてシェーブル、山羊のチーズです。
びっしりと茶色のカビ、緑のカビが覆っていて、
そして辺りは咽るようなカビの香りが充満してます。
これはフランスのブース。
試食させていただいたが、どれもピリピリと辛い。
うわ〜、こりゃすごいわ。

 

 

マーちゃんが交流のあるエルべ・モンス氏のブースに向かいます。
知らない方のために説明いたしますと、
エルべ・モンス氏はフランス国家優秀職人賞(M.O.F.)の
第一回に選ばれた世界最高峰の熟成士で
チーズ業界で彼の名を知らない人はいない有名人です。

皆さん忙しそうに準備の真っ最中でしたが、
ショーケースの中はすでに出来上がっています。
写真左奥には幻のチーズと言われる
Blue de Termignonがドーンとホールで。
亀裂のところから絶対に青カビが入ってるだろうなー。
うぅ、食べてみたいなー、とヨダレもの。

でもヨダレを垂らしている場合ではなかったのだ。
まずはご挨拶しないと。
エルべ・モンス氏ご本人にはもちろんのこと、
以前フランスでお会いした方にもご挨拶。
エルべ・モンス氏は私に「アンシャンテー(はじめまして)」と。
「初めてじゃないよ、3度目だよ」とマーちゃんが言うと
「あぁ、そうだそうだ、よく覚えてるよ〜♪」って。
覚えてないくせにいい加減な人だね〜と笑いあう。
モンス氏が来日の度に通訳としても
お世話になっているFさんにもご挨拶します。

「楽しんでってね〜」とやさしく迎えてくださって有り難い。

 

では、会場をぐるりとしてみましょうか。

こんなチーズもありましたよ。
Cacio Infiascato nel fieno
カチョ インフィアカート ネル フィエーノ・・・?
読み方は間違ってるかも。
「干草のチーズ」という意味でトスカーナ州の
「De' Magi」というチーズメーカーが作っています。

羊のミルク50%、牛乳50%のチーズで、
1つの重さは800g〜1sまでまちまちだそうです。
干草で包んでこうして吊るしてディスプレー。
熱心にチーズの説明をしてくださいます。
珍しく面白そうなのでチーズ講習の皆さんへのお土産候補に。

買うとしたら最終日に買うね。

 

きゃ〜、可愛いテーブルと椅子だ。
テーブルはオリーブの木かな?
椅子はチーズだよ。
「pecorino di remo」って書いてあるね。

このテーブルで商談とかするのでしょうね。
この椅子、欲しいな。

街をフラフラと歩いていましたら、F社のツアーの御一行様とバッタリお会いする。
F社のツアーコーディネーター兼通訳でいらっしゃるイタリア在住のbellafeliceさんとも初めてお目にかかる。
私のHPをご覧になって「同じ匂いがする・・・」とメールを下さったのがきっかけで、
何回かメールのやり取りをさせていただいた仲で、遠い異国でバッタリ会うというのは不思議な感覚です。

 

F社のツアーの皆さんと別れ、
スローフード協会の本部へ行ってみます。

スローフード協会をご存知ない方のために少し説明しますと。
1986年にファストフードへの反対をきっかけに起こった、
食を中心とした地域の伝統的な文化を尊重しながら、
生活の質の向上を目指す世界運動です。
このお祭りが行われているイタリアのブラに本部がある、
国際的なNPOです。

その本部で英語で書かれた厚い「イタリアチーズ」の本と
スローフード協会のマスコットであるカタツムリの
刺繍がいくつも入ったエプロンをマーちゃんとお揃いで買いました。

 

スローフード協会のレストラン「オステリア・ボッコンディーノ」
日本でHPをチェックし、辞書片手に
ほとんどのメニューを日本語訳してきたぐらい
気合たっぷりで来たのですが、
食事をするタイミングがない。

この後もこの祭りに日本から来ている
F社ツアーの方たちとの待ち合わせもあるし、
それが終わると、チーズのセミナーが入ってるし。

とりあえずアーチをくぐって中庭まで入ってみます。
緑いっぱいの二階がレストランです。

特に私たちが注目していたメニューは、
「グリージョ・ディ・カルマニョーラ種のうさぎのアルネイス風味」
この地方のうさぎ肉を、同じくこの地方の白ワイン
「アルネイス」のソースでいただくというものだ。
日本じゃ絶対食べられそうにないでしょ。

 

右奥に赤いカタツムリ


スローフード協会は「味の箱舟」と称して、
「食の均一化」という大洪水から
未来に残したい美味しい生産物や、
ごく僅かな生産者しか作っていない生産物を
守る活動をしています。
そのマークも、アンモナイトのようなカタツムリに
プレシディオ スローフードと書きます。

そしてこのチーズ祭りにも世界各地のブースの他に、
「プレシディオ スローフード」に認定された
絶滅危惧されるチーズたちが
集まってブースが出ています。

祭りの間じゅう私たちが
メインにウロウロしていた通りです。

さっそく、面白そうなチーズがありますよ・・・。

わっ、わっ、DOPのマークが付いてるよ。
2009年くらいまでにDOPになったのは
私たち二人ともほとんど暗記しているけれど、
こんなチーズ、知らないね。

こんなこともあろうかと、マーちゃんが日本で
イタリア貿易振興会のぬHPのDOP一覧を
印刷してきてくれていたリストにありました!
Vastedda della valle del Belice
ヴァステッダ・デッラ・ヴェッレ・デル・ベーリチェ
シチリア州のDOPですよ〜。

試食をさせてくださいました。
真剣にテイスティング、色が白くて羊乳製、
食感がシコシコしてるからパスタフィラータと思われます。
聞いてみるとその通り、羊のパスタフィラータは非常に珍しい。
ひとつずつ買うことにしました。
「これは冷蔵庫に入れちゃいけないよ」

いつDOPになったのか聞いたが知らないようだったが
ラベルをよく読むと、2010年10月28日と書いてある。

Caseificio di LIBORIO CUCCHIARAさんで作られています。
HPにはパスタフィラータしている動画がありましたので
リンクしておきましょう。

またまた見るからに美味しそうなチーズ発見。
トレンティーノ・アルト・アディジェ州のチーズのようだ。
まずは左の色の薄いほうを味見させてもらう。
Puzzone di Moena プッツォーネ ディ モエナ
名前を直訳すると・・・・「ものすごい悪臭」という意味。
ん・・・?そんな臭くない。普通だよ。(麻痺したか?)

次に左の色の濃いほうを味見させてもらう。
vezzena di lavarone ヴェッツェナ ディ ラヴァローネ
アミノ酸の旨みにパイナップルのような酸味。
美味しくて・・・・唸った。
2年は ゆうに熟成しているでしょうね。


ちょうどその時、背後から食の記者だというイタリアの男性が
「このチーズはイタリアでもすごく珍しいし、
すごく美味しいからぜひ買ってくといいよ」と
私たちに英語で話しかけてきた。
日本にも来たことがあるという食の雑誌の記者さんだった。

チーズ屋のオジサンはいかにも大事そうにチーズを扱う。
ラベルをなでなで。
ひとりのお客さんの注文を終えると
ラップに包んで、また、なでなで。

オジサンに「このチーズすっごく美味しいね」と言うと、
「そうだろ、あったり前だーい」の表情をしてみせる。
かわいいオジサン。
「これくらい頂戴」と指で幅を作って見せる
「これくらいか?」とチーズにナイフをあてて見せてくれる。
「そうそう、そんなもん」

言葉が片言だって、チーズを買うのには困りません。

 


約束していた時間になりました。
モンスのブースでFさんと、
F社のツアーで来ているAさん達と合流し、
Gran Sala dei Formaggi +Enotecaへ。
チケットを購入し、チケット分のチーズと
チケット相当のワインを飲むシステムです。
8ユーロで、お好みのチーズを一切れと
ワイングラスとワインホルダーとワインが付いてきます。
もちろん後からいくらでも追加でワインだけのチケットでも
チーズだけでも購入が可能です。

私たちはモンス社がチーズを提供している関係で
チケットをプレゼントしていただきました。
うわ〜♪ありがとうございます。

会場の中に入ると、カウンターの前にはワインセラーがズラリと並んでいて、その中にワインがぎっしり。
それぞれに番号がついていて、入り口でもらったワインリストの中から、自分が飲みたいワインを選んで番号を告げます。
暑くてのどが渇いているから、泡が飲みたい。
せっかくピエモンテにいるのだからピエモンテの泡がいいな。



16番にします。
ラッキーです。誰の飲みかけでもありません。
今、抜栓してくれます!

Alta Langa Brut Contessa Rosa 2007 Fontanafredda

ワインのリストにはそれぞれ色のマークがついています。
緑のマークはチケット2枚分、
黄色は3枚分、
青は4枚分、
赤は5枚分です。

私の頼んだコレは・・・緑。
一番お手ごろなワイン。

すっきりとした味わいで、のどカラカラの今、
ちょっどいい軽やかさ。
生き返ります。

 


次はチーズのブースに向かいます。
チケット1枚分でチーズ1つなので、
たくさんのチーズの中から1種類を選ぶのですが
これは迷ってしまいます。写真の中で珍しいところでは
無殺菌牛乳のGaugry社のエポワスと
右の方にある三角錐というかオッパイ型した
山羊のミルクで作られた
Cosne de Port-Aubryでしょうか。


あっ、これも日本であまり食べられません、
ルブロションの山羊版といわれるシュヴロタン。
モンスのブースでは熟成したシュヴロタンが
売られていましたが、これは若い熟成のようです。

栗の葉っぱで包まれたバノンもある。

さ、どれにしようかな。
悩んで悩んで
、Chevrotin シュヴロタンにしました。

私の担当はさっきご挨拶したモンス社の
フランス男性エティエンヌ氏です。
シュヴロタンにします♪」と言うと
ほかのスタッフが切ったポーションの倍はある
大きさにカットしてくださいました。

「メルシー♪」と答えると、
「ほかには?」って・・・聞いてくれた。
もう一個いいの?
うはは。

 

え〜〜、もう一個いいの?
どうしよう・・・・。

そしたらねー、やっぱり私の大好物にするよ。

Charolais シャロレ。
日によって食べたいチーズは変わりますが
シャロレ好きは変わりません。
山羊のミルクの引き締まった組織が
なんともハンサムなんですよね〜。

祭りも始まったばかりだから、
まだ切られていないチーズばかり。
新しいチーズをカットしていただける幸せ。

私たちのために用意してくださったテーブルへ移動します。

 

 

 

紙コップも、ナイフとフォークを入れた袋も
スローフード協会のカタツムリのマークが入っています。
かわいい♪

パンとグリッシーニは好きなだけ。

チーズは右がシャロレ、
左がシュヴロタン。

若い熟成のさわやかさを味わいます。
おいしいなー。

 

 

 

このチーズがマーちゃんが選んだチーズ。
さっき私が目をつけてたものだ。

Gaugry社のエポワスと
オッパイ型のCosne de Port-Aubry。

やさしいマーちゃんは、私の気になってたチーズを
わざと選んでくれたのでしょうか?

ちょっと、ちょうだい?

やっぱり無殺菌のGaugry社のエポワスは
風味が強くて濃厚だ。
Cosne de Port-Aubryはこれまたオツなお味。
チーズを食べなれた人が戻ってきたくなるような風味。

 

さっき頼んだ泡がなくなってしまいました。
チケットを買って、ワインをもらいに行きます。

暑いからやっぱり赤じゃなく白かな。
今度もやっぱりピエモンテのワインにしようかな。
それも私たちの宿のアルバで作ってるワインにしよう。
ならなら、私の好きなロエロ・アルネイスに決めよっと。

Roero Arneis Filippo Gallino
またまた私のために抜栓してくれます。
贅沢だなー、初日の特権だね。

洋梨のような香りと後味に程よい苦味。
ん〜、好き♪ 

しばらく皆さんとチーズとワインを楽しんで、
会場を後にします。

 

 

 

会場を出て、皆で街を散策です。

あっ、また珍しいもの発見!
木の枠にこまかい網が張られていて
中には棚が付いています。
これは山羊のチーズを入れて乾燥させる籠。

Aさんはすでにこれをお持ちだそうで。

ルイジ・グファンティ社のブースでブッラータ発見!

日本で食べられるブッラータは
中の生クリームはホイップクリーム状だけど、
以前、私がイタリアで食べたブッラータは
生クリームが流れ出てきたんだよ、とマーちゃんに説明。
まーちゃんは今までそういう流れるのを
食べたことがないと言っていたので、
1個、買ってみよう!ということになる。

でもこんな生タイプの持って帰れない。

「ウノ ペルファボーレ、イオ マンジョ!」と言い切ってみた。
「ひとつください。私は食べます」と
なんともストレートな物言い。
ホントは「私たちは食べます」だから「ノーイ マンジャモ」だったかな。
でも通じたからよしとする。
お店のオジサン、私の発言に笑いながら
「そうか、ここで食べるか、じゃ、こっちへおいで」と
商談のブースに入れてくださいました。

オジサン、手袋をして、さっ切るよ〜。

 

 

 

まずは上の紐で結んだとこをチョキン。
紐を取って、縦に真っ二つ。
ほらほら、流れてきましたよ〜、生クリームが。
このあたりで興奮状態の私たち、
写真を撮りながら喜んでます。
ショーケースの外にいるお客さんたちも
「あの子たち、何か食べてるよ・・・」という顔で
興味津々で私たちを見つめています。

オジサンがふたつに切ったブッラータを
さらにふたつの皿に分けてくれました。
さ、召し上がれ、とオジサン。

一口食べると・・・うわわ、濃厚!
冷たいのに生クリームの甘さがしっかりわかる。
パスタフィラータのチーズのフレッシュさが心地いい。
「モルトボーノ♪幸せ♪」
オジサンも満足そうに私達に微笑みかけてくれます。

これぞチーズ祭りの醍醐味。
おじさん親切にありがとね〜♪
 

また街をブラブラします。

うわっ、あった、あった!
ブラの名物、サルシッチャ。
とぐろを巻いた生のソーセージです。

これ、生で食べるのですよ。
5cmほど切り取って、皮を残して指先で
中味をにゅるにゅるっと絞り出して食べるのが正式!

日本では生肉に敏感になってますから、
軽いカルチャーショックですな。

会場近くの公園のベンチで、ひと休み。
たまたま同じベンチに座っていた女性から、「どこかいいホテルを知らない?」と聞かれる。
宿を取らずにやってきたらしい。アルゼンチンの人だったかな?
ブラのホテルはもういっぱいよとか、だから私たちはアルバに泊まってるんだとかいろんな話をする。
この女性、新聞記者なんだって。
チーズの祭りにきている日本人として新聞で紹介したいと言い出した。
少しインタビューを受け、写真を撮られた。世界のどこかで私たちの笑顔が載るのかな?

 

日本でワークショップ(チーズとワインのセミナー)に申し込みをしていた時間の19時が近づいてきました。
セミナー会場はいくつかあり、それぞれの会場は結構離れています。
おまけにマップが間違っていたり、聞く人によって会場場所が違ったりして、もう時間までに辿り着けないのでは?と焦りました。
なんとか汗かきかき ようやく時間ギリギリに間に合いました。
イタリア語とフランス語の飛び交うセミナーですので、英語の同時通訳付きのヘッドフォンを借りて参加します。

 

やる気マンマンの私たち、一番前の席に座ります!
というのは冗談で、たまたま空いてたのです。

今回のテーマは
「Cheeses from the South of France with Châteauneuf-du-Pape 」
南フランスのチーズとシャトー・ヌフ・パプです。
チーズ7種類、そしてワインも7種類。

スローフード協会の非会員の私達は25ユーロ。
会員だと20ユーロです。
どちらにしても、日本のセミナーが嘘のような価格です。

必死になって英語の同時通訳を聞きながら
テキストに書き込みしていきます。

私が聞き逃したことはマーちゃんが
マーちゃんが聞き逃したことは私が、というように
後でふたりで説明を補いあいます。
マーちゃんが英語が堪能で助かりました!

ワークショップが終わり会場を出るともう真っ暗です。
疲れたね〜!

今夜もドライバーのロベルトに電話して、アルバの駅に来てもらいます。

明日の朝も宿まで迎えにきてもらう約束をして。
朝からずっとチーズを食べ続けた一日、がんばりました!

 


 <前のページ >   次のページ >