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パルミジャーノ・レッシャー工場見学パート2&フィレンツェ1日目です。
カードカットの後、チーズ作りはホエー排出に入っていきます。
カードを釜の底に沈ませ、ホエーをある程度抜き、カードの塊を大きな布ですくって2つに分けて、
釜の中で布に包んだ状態で釜に渡した棒に吊るしにます。これを型入していくわけです。

チーズを型入れする時に使われるプラスチックのモールド(写真上左)。
協会HPによると「fascere」と呼ばれているそうです。(
協会のパンフレットには「fascera」と記載されてます。どっちが正しい?
この側面の部分の内側に、「マーキングシート」と呼ばれるプラスチック製のシート(写真上右)を入れます。
これは、チーズの側面に「PARMIGIANO REGGIANO・・・」と刻印のようにマークするもので、
DOPとか、工場番号とか、製造年月などを刻みこむためのものです。年月などは変えられるようになってます。

そしてこれが圧搾用の重し。
結構重かったです。
これは形を作るために行われるものでして、
決して、脱水のためではありませんよ。
(よく試験に出ますね・・・)

 

その後は、ステンレスの枠の中に移します。
ステンレスのまわりには縄と、とめ具がついてて、
写真左のように職人さんが木槌のようなものでとめ具を叩いて締めていきます。
とめ具は木の他プラスチックもあり。↓

この状態で少なくとも2〜3日。
型に入れた後、ステンレスの縁の部分よりチーズが少しだけ背が高いというか、はみ出ていますね。
これだと形が不揃いになるので、キッチリ縁に沿ってカットします。そのカットしたのが写真上右。
食べてみたけど、やっぱり加塩前なので美味しくありません・・・。
切りっ端をビニール袋に詰めたもの、しっかり売店で売ってましたが、何の為に買うのでしょうかね。
料理用かな?犬の餌なのかな? うっかりアンさんに聞くのを忘れてしまいました。
どなたかご存知でしたら、教えてくださいね。

 

場所を移動します。プールです。うそ。
加塩の工程のための、チーズを塩水漬けにする水槽です。
大型チーズは、塩を直接チーズにすり込む「乾塩法」ではなく、塩水に漬ける「ブライン法」が一般的で、
パルミジャーノ・レッジャーノも例外ではなく、シーソルト(海の塩)を溶かした塩水に21日間漬けます。
まず、写真下のステンレスの左の棚の中に、チーズを入れます。
4×4で16個のチーズがひとつの棚の中に入っています。(写真下右は1個のアップ)
そしてこの棚ごと、塩水プールに沈めます。

棚ごと沈ませてあって、うっすら丸いチーズが沈んでるのが見えますよね。
昔のブライン法では、プカプカとチーズが浮かんでいるのをクルクルまわしてるのを写真で見ますが、
現代はこうやって浮かんでこないようにして、クルクルまわす手間を省いているんですね。

 

塩水プールの奥には水の循環装置がついていました。これで水を入れ替えるとか言ってました。
塩水ってどれくらいなんだろうかと、水を舐めさせてもらったら、かなりしょっぱかった。
シーソルトは粒でした。何処の海なのか聞くのを忘れてしまいましたが、ちなみにシチリア産の塩が良質らしいですよ。

 

さてプールの脇にあるドアをあけるとそこは、サウナ室。(写真上左)
21日間塩水プールに漬かったチーズちゃん達が、ワゴンの上に乗ってます。
1日だけここで充分に汗をかかせてから(余分な水分を抜かす為)熟成庫へ移動させるそうです。
上の写真右、チーズのアップですが、汗がタラタラ流れているのが見えるでしょうか?

 

じゃーん、熟成庫。パルミジャーノ・レッジャーノがズラリと並んで圧巻です。
パルミジャーノ・レッジャーノは、ここで表皮をブラッシングしながら最低でも1年間熟成させなければなりません。
写真下左が年季の入ったチーズブラッシング機。
チーズを1個1個、手で持ち上げてこのブラッシングの機械に乗せます。
いくつものチーズを持ち上げての作業はかなりの重労働なので、今は大半は写真右のように、自動で機械がやります。
にょ〜っと手みたいなのが出てきて、チーズを2個ずつ棚から持っていってブラッシングしながらクルクルまわします。
磨き終わると、また元の場所にチーズを戻し、奥へ奥へと自動で仕事を進めていました。

 

熟成して1年経つと、検査職人(バッテットーレ)による
1回目の検査があります

チーズを叩いたり、サンプルをとったりして、
検査に合格すると、写真左のような
楕円形の焼印が押されます。
「Parmigiano-Reggiano Consorzio Tutela」と
楕円の中には刻まれています。

合格したもので質がよいものは「クラシコ」と分類されます。
不合格のみのは、パルミジャーノ・レッジャーノとは
名乗れません。

1回目の検査の時点で、検査には合格したので楕円の焼印もあるし、風味や味には問題がないのだけれど、
外皮やチーズの内部にある一定以上の欠陥があり、これ以上の長期熟成は無理だろうと判断されたものは、
写真下のような、無残な横線が刻まれます。これは「プリマ・スタジオナトゥーラ」と分類され、この時点で出荷されます。
写真下右には、欠陥部分が切り取られた様子が見えますね。これを「手術」とアンさんは呼んでいました。
軽度の手術ならば、食べるのに全く問題はないそうです。でも長期の熟成は無理ってことですね。

熟成18ヶ月経った時点で、希望者のみ検査を受けることが出来ます。
これに合格すると、最高品質と認められ『エクストラ』、『エクスポート(輸出用)』と
認定されてそれぞれに「
Parmigiano-Reggiano EXTRA」、
Parmigiano-Reggiano EXPORT」の焼印が押されます。
写真左の楕円形のものはチーズの焼印、右はカットされた包装パックに印刷されます。

 

これで工場見学はおしまい。
併設されているショップで、実際にチーズをカットしてるところを見せていただきました。
パルミジャーノ・レッジャーノはカットをするにもパルミジャーノ協会の認可番号が必要なんですよ。
これによりカットされて売られたとしても、消費者が本物であると判る仕組みになっています。
世界各地で偽物が作られたため、協会はいろいろ手をほどこしているんですね。

写真上左は電ノコのような機械でカットしているところ。
もちろん手でもカットしていて、それには写真上右のような何種類ものナイフを使っていました。

工場併設のショップには、チーズだけでなく、パンナコッタ、バター、パルミジャーノのクリームやバルサミコ酢やら、
チーズグッズ、ハムなどもいろいろ売っていました。
私はパルミジャーノの真空パックになったものをチーズ教室などへのお土産用と
珍しかったので写真上右の「クレーマ・ディ・パルミジャーノ」ようするにパンに塗って食べるスプレッドと、
自分用にパルミジャーノの形をした粉チーズ入れを買いました。

私のマニアックな質問に時々ドギマギしながらも、親切丁寧に案内してくれたアンさんともここでお別れ。
あ〜楽しかった♪

 

タクシーでレッジョ・エミーリア駅に戻り、
電車でパルマに戻り、軽くお昼を食べて、
そこから急行電車でモデナ駅まで。
モデナからフィレンツェまでの電車に乗り換えるのだけど、
なんと90分遅れ。
何もすることなく、ぼーっとモデナ駅で佇む。
そういえば、モデナもパルミジャーノ・レッジャーノの
指定産地なんですよね。なので記念にパシャ。

フィレンツェに到着して、タクシーでホテルに向かいます。私達が泊まるホテルは、カルティエの隣の重厚な感じのところ。
通された部屋は広くて、この旅の初のバスタブ付き。
きゃっほ〜♪・・・・・・・と喜んでいる間もなく、私はどんどん気分が悪くなっていきました。
私は耳が悪いのか良すぎるのか敏感なのか、時々音で気持ち悪くなることがありまして、
たとえば冷蔵庫のジーって音とか、焼肉屋の喚起とかも苦手な時があるんです。
今回の気持ち悪さはどこからきてるのか?
エアコンの「ガガガー」って音のせい?テレビのせい?冷蔵庫?と、あちこちスイッチを止めても、
私が不快に感じている音とは違っていて、どこかで変な音がしてる。
廊下に出てみて右へ行くと音が消えていくのだけど、左へ行くと嫌な音が大きくなるの。
左には外に通じる中庭みたいなのがあり、そこにエアコンの室外機がありました。たぶん犯人はコレです。
気にしないようにすれば大丈夫かな?とベッドで横になってみてもダメ。どんどん吐き気が襲ってきて・・・。
涙目で「ゲー、ゲー」とえづき、いまにも吐きそうなのに我慢してる私を見て、姐さんが心配してくれて、
「ずっと我慢なんて出来ないよ、こういう時は部屋を変えてもらったほうがいい」と言ってくれて
ホテルに掛け合ってくれたお陰で、部屋を移れることになりました。
一応、新しい部屋に入って、音が大丈夫か確認してみてくれとのこと。
新しい部屋もエアコンの音が大きいけど、私の吐き気の原因の音とは違うみたいで大丈夫そう。
でも、新しい部屋はバスタブなし・・・。部屋も少し暗いよ。ごめんね姐さん。せっかくバブ(入浴剤)を持ってきてたのに・・・。
姐さんには申し訳なかったけれど、この部屋に移動させてもらって以降は全く問題なし。
後で調べたことなのですが、これは「モーターによる低周波騒音」というものだそうです。
同じ場所にいても吐くほど気持ち悪い私と、全くなんともなかったかまこ姐さんがいるように、とても個人差が激しいらしい。
同じ状況であっても被害者が自分ひとりというのが通常で、理解者は身近にはまず存在しないらしい。
低周波に対する感受性が強い私を理解してくれて、「気のせいだよ」なんてことを言わず優しくしてくれた姐さん、ほんとありがとう♪

しばらく部屋で休んでから、軽くホテルのまわりなどを散策してから今宵の夕飯を食べにいきました。
たしか、GIGIとかいう店だったような気がします。人気店のようです。
これで5日目終了です。


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