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2月23日(火)
まだ暗いうちにホテルで朝食を済ませ、
今日はコンドリューへ向かいます。
また、雨が降ったり止んだり。
45番目のAOCになったリゴット・ド・コンドリューの
レティエ(工場製)の見学です。
大型バスが駐車場に着きました。
あれ?パヴェ・ダフィノワ?
リゴット・ド・コンドリューじゃないの?


どうも手違いでFromagerie Guilloteau社のほうに
見学の予約が入ってしまっていたようでした。
でも本来のリゴット・ド・コンドリューの
Fromagerie du Pilat社の方も見学できるので、
手違いが幸いして、どちらも見学できることになり、
なんかラッキーですな。

大きな工場らしく、ガラス張りの見学通路があり、
上から工場を眺める感じの見学です。


チーズを勉強した人ならば「Pave d'Affinois」と聞いて、
真っ先に思うのは、ウルトラフィルトレーション法でしょう。

通常チーズは、ミルクを凝乳酵素で固めてから
水分(ホエー)を抜きとって、型に入れて作ります。
このときの水分には乳糖やホエーたんぱく質が含まれてしまいます。
それに対してウルトラフィルトレーション法は、
ミルクをウルトラフィルターで濾過することによって、
本来捨ててしまうホエーたんぱく質も取り込んで
純粋な水だけを廃棄するのみで済みます。

つまりホエーたんぱく質もチーズに含まれるので
歩留まりがいいチーズが出来るということね。
じゃ〜ん。
これが、ウルトラフィルター!


1cm四方に300kgの圧力をかけて
段階を経て濾過させていきます。
写真の赤い蓋の容器の下から順々に
濾過をすすめていったサンプル。
最後には水になっちゃうそうです。

 




こんだけいろいろあるPave d'Affinoisシリーズ。
ヨーグルト入りとか、シェーブルバージョンとか
羊乳バージョンとかもね。
案内してくださった担当の方は、
ヨーグルト入りが一番のお気に入りなんだって。

 




こんなに出していただいた試食。
見た目がなんかお豆腐みたい。
スーパーで気楽に買えるチーズだけど、
今出来たばっかりのホヤホヤだから、
どのスーパーで買うよりも若いチーズ。
ある意味、ここでしか食べられない味だ。



 

本来の見学先、Fromagerie du Pilat社の
リゴット・ド・コンドリューの製造している工房です。
日本のフェルミエ社で扱ってるリゴット・ド・コンドリューも
こちらで作られたものです。
年間わずか60トンの生産量のうち、
ピラ社はその半分の30トンを生産しています。

AOCの基準を満たしている6件の農家から
山羊のミルクが届けられます。




小さな工房なので、ふだんは見学は受付してないらしい。
私たちは「チーズのプロフェッショナル」ということで
見学が出来たようです。

白の不織布の帽子にコート、靴カバーを履いて、
さらにプールに入る時の消毒みたいに
消毒液の中を歩いてカバーの足の裏も消毒です。
この消毒の匂いの方に私がやられそうです。



お兄さんはカードをステンレスバッドに流し込んでいます。
型入れする前に、24時間ステンレスバッドで寝かすそうです。

赤ちゃんのゲップのような(喩えが悪くてごめんなさーい)、
甘酸っぱいような、香りが立ち込めています。
嫌な香りではありません。

型に入れたチーズの赤ちゃんは、
両面に塩をして、乾燥室、熟成庫と移ります。


 




ここが熟成庫。

ぜ〜んぶ、リゴット・ド・コンドリュー。


見本でよく見かける青色のパッケージ。
チーズとは別にシール状になっています。


中身は同じだけど、スーパー用パッケージ。
リゴット・ド・コンドリューの文字以外は
英語で書かれているようなので、
これはイギリスとかアメリカの
スーパーマーケット向けなのかな?


ピラトゥーという名前の山羊チーズ。
リゴット・ド・コンドリューはAOCの基準にあるように
無殺菌の山羊乳で作られますが、
このピラトゥーは殺菌の山羊乳だそうです。
花のような縁取りの容器は、
このままオーブンで焼きチーズに出来るもの。
こんなの日本で安く買えたらいいのにな。

最後に、いつものラベルのリゴット・ド・コンドリューを
3個パックをひとつ購入しました。日本の1/3弱ぐらい。
工場見学終了。

 

コンドリューのミシュラン1つ星レストラン
Le Beau Rivage
でランチです。
オーヴェルジュと言うのか、4つ星ホテルの中にあり、
静かな川沿いの素敵なところです。

窓から川が見えます。ローヌ川?その支流?


可愛らしいアミューズ。
酒飲みにとって、昼間っからこういうアミューズを肴に
ワインが飲めるのは至極のひとときです。
ましてや、川沿いで気持ちがいい。

テーブルのお花とアミューズの色が、とても合ってますね。

ワインは
白は、サン・ジョセフ“Le Lombard” 2008 
赤は、クローズエルミタージュ “clos Les cornirets” 2006

黒一点のNonbeさんが選んでくれたワインです。


アンティチョークのスープに
鴨?キジ?のパテ。

アンティチョークのスープは、量もたっぷり。
日本じゃなかなか食べられないスープだよ。
美味しい♪


セミスモークしたサーモンのタルタルとカリカリ野菜。

どこがカリカリした野菜なのか、
よく分りませんが、スモークしたサーモンのタルタルは
香草が効いてて、とても好きな味でした。

 


ボージョレーワイン&エピスのお口直し。

シナモンとジンジャーが効いています。


フォアグラを詰めたウサギ(脇からしっぽにかけて)の
ブロシェット ヘーゼルナッツソース。

ウサギのまわりにベーコンも巻いてあり、
中にフォアグラなのでボリュームいっぱいのメイン。
ヘーゼルナッツのソースがとても美味しい♪

添えられているのはクスクスではなく、
穀類っぽい感じ。

 


パンデピス(ジンジャーブレッドとも訳されます)の上に、
リゴットショー(焼いたリゴット・ド・コンドリュー)。
そしてチコリと胡桃のサラダ。

くるみはおそらく、グルノーブルのAOCのものでしょう。

美味しくて、簡単にマネが出来る一品。いただき!


ややビターなオレンジ風味のチョコレートデザート。

うぅ、もうお腹がいっぱいなんですけど・・・。

甘いものが得意でないので、別腹が作れない。

オレンジのシャーベットは全部、
チョコレートケーキは半分、食べました。


プチデザートが、まだまだ出てきます。
このほかにシルバーのトレイに乗ったチョコレートも。

ウサギのメインでお腹いっぱいになってしまったので、
残念ながら私はひとつも食べられませんでした。
エスプレッソだけ頂いて、ごちそうさま。

チーズツアーに組まれていたので、
ランチ代は幾らか分りませんが、
そんなに目が飛び出るような価格ではないはず。
また機会があれば、伺いたいです。




食事の後はまたバスに乗り込んで、
今度はリゴット・ド・コンドリューのフェルミエ(農家)を訪ねます。
Fromagerie SATRE-JULIEN Patrikさんとこです。

ご夫婦ふたりでリゴット・ド・コンドリューをはじめ、
いくつかの山羊のチーズを作ってるそうです。

 



パトリックさんご夫婦にご挨拶後、
すぐに山羊小屋に案内してくださいました。
入って左右に山羊のスペースがあり、
真ん中に干し草が置かれていています。
左右の隙間から、山羊が思い思いに首を出して
干し草を食べています。
一日一頭につき、干し草600g、とうもこし100g、
大豆粉200gを食べるとのことです。

 



飼っている山羊は二種類、
茶色のアルピーノ種。

ヤギさんは好奇心旺盛で、みんな私達に興味津々。

「何?何?」という目で見つめてきます。



「食べてるけど、なぁ〜か用?」

この白い子はサーネン種です。

「茶色はアルピーノ、白はサーネン」と
山羊を見てすぐに品種が分っちゃう、
マニアックな日本人のグループ。

「あんたたち・・・・変な人たちねぇ」


きゃ〜〜超かわいい♪

奥様が抱いて連れてきてくれた赤ちゃんヤギちゃん。
「め゛ぇ〜、め゛ぇ〜」と可愛い声で鳴いてる。

まるで
アルプスの少女ハイジに出てきた
ユキちゃんだよ♪


山羊小屋の後は、チーズ工房です。

ミルクの濃さなどから、季節によって
型にカードを入れる量が違うという。
今ぐらいの季節はレーシュ(おたま)に1杯。
6月〜7月くらいは、1杯半。

今は優しい味で、夏は強めの味になるそうです。


試食にと、多すぎるほど切ってくださった。

作りたてのまだ真っ白なものと、
少し熟成させて青カビが出始めたものと
味としては、青カビをまとったぐらいの方が美味しい。

だけど、真っ白の出来たてフェルミエ製の
リゴット・ド・コンドリューなんて日本じゃ味わえない!


ハチミツで甘く仕上げたバゲットのせと、
チャイブのような青ネギっぽいのが入ったタイプも。
それから自家製のケーキも。
暖かいおもてなしを受け、感激。

リゴット・ド・コンドリューがAOCになって何か変わりましたか?

「作れる量は変えられないから、大きな変化はないけど、
こうして日本から見学の人が来たことかしら?」

 

お世話になったパトリックさんご夫婦。

ご主人は以前10年ほど、
ワインメーカーで働いていたけれど、
地下のセラーなどの閉塞感に耐えられず、
山での暮らしを選んだとおっしゃっていた。

ちょっと羨ましい暮らし。


人懐っこく、私達を見送ってくれたワンちゃん。

ありがと〜、バイバ〜イ。

 

 

チーズ農家をあとにして、
今度はワインメーカーの『E.ギガル社』を目指します。
ローヌと言えば「ギガル」、「ギガル」と言えばローヌと
言われるほどの有名なワインメーカーです。

 

 

ランチや、チーズ農家と巡ってきて時間が押した関係で、
私達の大型バスが ギガルに到着するのが遅れてしまい、
すでに見学ツアーが出発してしまったそうです。

なので他の見学ツアーの人が戻ってくるのを待って、
地下のセラーで試飲だけ参加します。

見学をしていないので、思い入れが沸かず、
ワインを1本も買わずにおしまい。

この日はリヨンに宿泊です。
ホテルに着いて、部屋のいくつかのトラブルにちょい疲れて、夜の街に繰り出す体力が無くなった。
若い子はひとりで夜の街に繰り出してる子もいたのから、私はもう年寄りなのかな。ホント。

チーズの試食は少しずつ胃に溜まっていくので、胃と腸のために夜は野菜を食べたかった。
同部屋のNちゃんとホテル近くのスーパーに行って、5キロの水と、カット野菜、トマト、パン、
ドレッシングなどを買い込み、お部屋でささやかな晩餐会。


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