1月1日 辛未 天霽風静まる
午の刻、将軍家鶴岡宮に御参り。和田兵衛の尉常盛御劔を役す。廻廊に於いて御遙拝
の後還御す。
1月2日 壬申 晴
将軍家若君(一幡君)鶴岡宮に御奉幣。神馬二疋を奉らる。御神楽を行わるるの処、
大菩薩巫女に託し給いて曰く、今年中、関東に事有るべし。若君家督を継ぐべからず。
岸上の樹その根すでに枯れ、人これを知らずしてただ梢緑持つと。その後将軍家隼人
入道が宅に御行始め。この所に於いて御鞠始め有り。伯耆少将・北條の五郎・六位の
進・富部の五郎・比企の彌四郎・細野兵衛の尉(以上布衣)等参会す。今夜御逗留。
1月3日 癸酉 晴
将軍家隼人入道が宅より還御す。御所に於いて御的始め有り。
射手
一番 海野の小太郎幸氏 和田兵衛の尉常盛
二番 筑後の六郎知尚 和田の平太胤長
三番 諏訪大夫盛澄 望月の三郎重澄
1月20日 庚寅
将軍家また善隼人入道が宅に入御す。御鞠有り。北條の五郎已下人数例の如し。員二
百五十・百二十。