6月16日 甲申 快晴
去る月より今に至るまで、一滴の雨も降らず。庶民耕作の術を失う。仍って祈雨の事
を鶴岡の供僧等に仰せらるるの処、江島に群参し龍穴に祈請すと。
6月17日 乙酉
寅の刻甘雨降る。祈請の感応なり。御劔・御衣等を宮寺に送り遣わさる。
6月18日 昨今涼風頻りに扇く [明月記]
人々云く、熊野焼亡有り。臨幸の御奉幣訖わり、御所に入御するの後、程を経ず忠信
卿の宿所失火す。滅し得ること能わず。煙炎忽ち盛んにして、御先達の僧正房の地を
払い、資財等悉く焼亡し人死に及ぶ。火油戸に及ぶの間、上皇臨幸す。人勢を以て打
ち滅せらる。宝殿無為と。
6月24日 天晴 [明月記]
高陽院殿に参る。申の始めばかりに南山の飛脚参入す。還御また延引し、来五日と。
新宮三ヶ日・本宮七ヶ日御経廻。