９月４日　［筑前宗像神社文書］
＊＊関東御教書案
　　申せしめ給うの旨、具に披露候いをはんぬ。天下静謐の事、仏神の御計、左右に及ば
　　ざる事なり。御巻数慥に参着する所なり。当社の事、将軍御家領たるべきなり。神境
　　安全の條、すでに神妙の賢慮か。預所職は、駿河守子息補さるるなり。限り有る仏神
　　の事並びに本家・領家御年貢の事、成敗に随い沙汰せしめ給うべきの由候なり。仍っ
　　て執達件の如し。
　　　　承久三年九月四日　　　　　　　　図書の允清原（在判奉る）
　　宗像大宮司殿（御返事）
 

９月９日　［承久記］
　　夜（丑の刻）、大炊殿回禄出来る。新院の御跡だにもなく焼失るこそ、いとど悲しけ
　　れ。此火には、能人の家々多焼にけり。右大將の一條の亭・近衛殿・西洞院殿、すべ
　　てなき人の家々、数知らずぞ焼にける。

［百錬抄］　辛卯
　　丑の刻、院の御所（大炊殿）炎上有り。即ち高陽院殿に御幸す。
 

９月１０日　壬辰
　　叛逆衆の事追って沙汰有り。配流を分つ。所謂刑部僧正長賢陸奥の国、賀茂禰宣大夫
　　甲斐の国、同神主鎮西と。去る月二十二日、権中納言定高卿参衙す。官符に請印すと。
 

９月１５日　丙申　夜に入り雨降る
　　今日鶴岡放生会これを遂行す。式月天下大穢の間、延引する所なり。
 

９月１６日　丁酉　小雨灑ぐ
　　馬場の儀例の如し。右京兆奉幣す。神事以後、軍忠を抽んず輩の事沙汰有り。殊に神
　　妙の由右京兆の消息有りと。これ面々勲功の次第を註し申すに依ってなり。また高陽
　　院殿を守護すべきの由、畿内の家人等に下知す。今日六波羅に於いて結番を定むと。
 

９月１７日　戊戌
　　六波羅の使者到来す。去る九日夜半大炊殿焼亡し、法皇賀陽院に幸す。これ放火なり
　　と。
 

９月２９日　庚戌
　　大蔵卿僧都定雅（教雅を改む）、師範定豪法印の譲りを受け、鶴岡八幡宮寺の別当職
　　に補す。今日神拝を遂ぐと。