9月7日 丁卯
御所御持仏堂の彼岸法華懺法結願なり。僧衆五十二種物を分ち賜う。この外御布施有
り。八條少将・前の弾正大弼・内蔵権の頭等これを取る。その後仏師参河法橋召しに
依って御持仏堂に参る。北斗七星・二十八宿・七曜・十二宮等の形像を造り始め奉る。
九月たりと雖も、仏像を造立すること憚り無きの由御沙汰に及ぶと。兵庫の頭定員こ
れを奉行す。
9月8日 戊辰
戌の刻施薬院使正四位上丹波朝臣良基卒す(年五十五)。時に伊豆の国北條小那温泉
に在りと。
9月16日 丙子
月蝕正現す。虧初めは未の刻(二十分)、復末は戌の刻(二十八分)。
9月30日 庚寅
御家人等の中任官の輩行幸役を勤めざる事、その恐れ有るに依って、用途を召し進す
べきの由、今日評定有り。所謂左右衛門の尉の分(人別百疋)、左右兵衛の尉の分(人
別七十疋)、左右近将監の分(人別三十疋)、左右馬の允の分(人別五十疋)、内舎人
の分(人別二十疋)等なり。行幸等に供奉せざれば、毎年役として進済すべしと。且
つは催促を加え沙汰を致せしめ、交名を注進すべきの旨、諸国守護人に仰せらるる所
なり。