12月11日 戊辰 晴
亥の刻右大将家の法華堂前焼亡す。北風烈しく吹き、勝長壽院並びに弥勒堂・五仏堂
の塔悉く以て災す。但し本尊及び一切経等は、希有にしてこれを取り出し奉ると。
12月13日 庚午
明春正月の御的始めの射手等これを差し定められ、御教書を下さる。越後の守これを
奉行す。
12月19日 丙子 晴
戌の刻雷鳴数声。
12月20日 丁丑
六波羅の問注に就いて、條々仰せ遣わさるる事有り。
一、問者署す所を書せらるべき事
一、両方進す所の證文等、各々継目を封すべき事
一、同じく文書目録、巨細に注進せらるべき事
一、庄園領家の事
本寺社の名を載せらるると雖も、領家を注せられざるの間、聊か不審に渉る。問注
記の端作、これに書せられざると雖も、申す詞の注ナントニ、これを書き載せらる
るべきか。
一、正しく地頭の交名を書くべき事
某庄地頭某ト載テ、正しく地頭を書せざるの間、聊か不審に渉るか。地頭某・代官
某ト正員・代官共に以てこれを書せらるべし。
一、條々各別に篇目を立つべき事
一段の内條々相交わるの間、御急々の時御心に得難し。一事ヲ一段にて、両方申状
の詞、別々に書き別けらるべきなり。
一、問注記を以て沙汰人に下し、理非を勘ぜしむるの処、その数輩の中、縁者に於い
てはその座を起たしめをはんぬ。而るにその外或いは先論人と号し、また前々の縁
者と称し、沙汰人の催しを嫌い申すの事、御評定の時、用捨何様に定められ候らん。
不審の事候の間、内々尋ね申し候。委しく仰せを蒙るべく候。
12月25日 壬午
小侍所番帳の事その沙汰有り。廂等近々の事に於いては、御前に於いて直に宜しく御
計有るべし。小侍所は本所なり。惣人数の事たるの間、殊に父祖の経歴を糺すべし。
三代その人数に列せざれば、公事に勤仕する御家人たりと雖も、輙く御許容有るべか
らざるの旨定めらると。