1256年 (建長8年、10月5日 改元 年 丙辰)
 
 

12月11日 戊辰 晴
  亥の刻右大将家の法華堂前焼亡す。北風烈しく吹き、勝長壽院並びに弥勒堂・五仏堂
  の塔悉く以て災す。但し本尊及び一切経等は、希有にしてこれを取り出し奉ると。
 

12月13日 庚午
  明春正月の御的始めの射手等これを差し定められ、御教書を下さる。越後の守これを
  奉行す。
 

12月19日 丙子 晴
  戌の刻雷鳴数声。
 

12月20日 丁丑
  六波羅の問注に就いて、條々仰せ遣わさるる事有り。
  一、問者署す所を書せらるべき事
  一、両方進す所の證文等、各々継目を封すべき事
  一、同じく文書目録、巨細に注進せらるべき事
  一、庄園領家の事
   本寺社の名を載せらるると雖も、領家を注せられざるの間、聊か不審に渉る。問注
   記の端作、これに書せられざると雖も、申す詞の注ナントニ、これを書き載せらる
   るべきか。
  一、正しく地頭の交名を書くべき事
   某庄地頭某ト載テ、正しく地頭を書せざるの間、聊か不審に渉るか。地頭某・代官
   某ト正員・代官共に以てこれを書せらるべし。
  一、條々各別に篇目を立つべき事
   一段の内條々相交わるの間、御急々の時御心に得難し。一事ヲ一段にて、両方申状
   の詞、別々に書き別けらるべきなり。
  一、問注記を以て沙汰人に下し、理非を勘ぜしむるの処、その数輩の中、縁者に於い
   てはその座を起たしめをはんぬ。而るにその外或いは先論人と号し、また前々の縁
   者と称し、沙汰人の催しを嫌い申すの事、御評定の時、用捨何様に定められ候らん。
   不審の事候の間、内々尋ね申し候。委しく仰せを蒙るべく候。
 

12月25日 壬午
  小侍所番帳の事その沙汰有り。廂等近々の事に於いては、御前に於いて直に宜しく御
  計有るべし。小侍所は本所なり。惣人数の事たるの間、殊に父祖の経歴を糺すべし。
  三代その人数に列せざれば、公事に勤仕する御家人たりと雖も、輙く御許容有るべか
  らざるの旨定めらると。