サマースクール旅日記 (August.1999)
 
     
  12日(木)チルドレン・ショー

サマースクールも今日で5日目。体調も整い、これから段々とばしていこうかというところ。ダンステクニックVに出た後、モーブのゼネラルクラスでは、めったに褒めないジム先生から、シザーズ(エクササイズの名前)で「スーパー」とほめられて舞い上がる。

午前中のダンスクラスは、マリリンのレッスン。ストレッチングを兼ねたバリエーションの後、フォークダンス風、エアロビ風と続き、楽しいけれど結構きつい。
ティーンズが何人か参加していたが、疲れている様子。今日のチルドレンショーのため、ここ何日か頑張って練習したのだろう。

ランチ前のルビーの「Ritual Sacrifice」の練習は、相変わらず錯綜していてなかなか進まない。皆がきっかけの音を取れないのが原因だと思う。音楽に集中して良く聞いたら分かるのに、みんな演技を面白がって、自分に集中しすぎているんだもの。ルビーはドラマチックにやりたいらしいのに気の毒だ。
おまけに2日目から加わったインド系の風貌の人が、ラストの生贄が殺されちゃうところについて、「神様は決してそんなことはなさらないわ。彼女にはナイフではなく、花を贈るべきよ。」と主張して一時混乱。ルビーは「これはただのダンスよ。」といって続けたけれど、ここらあたり、インターナショナルなだけにいろいろと起る問題があって興味深い。ランチのときに聞いたが、昨日はどこかのクラスでバリエーションに「ゴスペル」を使ったら、「神様のための音楽をこんなことに使うなんて」と怒った人がいたそうだ。ティーチャーもいろいろ気を使って大変だ。
ともあれ「一体これはいつやるの?」と能天気に聞いた人に、「明日よ」とルビーが答えると「Oh,my god!」の声が上がって、皆の気持ちも引き締まり、最後は何とかまとまった。やれやれ。

いつもどおりランチには遅れるが、今日はバナナを頼んで確保しておいてもらったので、にっこり。おやつが用意できたので、昼食は軽く取ってインテンシブクラスへ行く。

インテンシブは今週は受験者がいないので、木曜日とはいえ、わりとリラックスした雰囲気。日本では苦労していたクイックステップもしっかり踏み込んで跳べるようになり、今日はリリアからも「スーパーガール」と褒められてにこにこ。今日はラッキーディかしら。

気分を良くして次の2クラスを受けたが、午前中のマリリンのダンスクラスが今ごろ効いてきたのか疲れてきたので、クリエイティブは休んで部屋に戻る。ゆっくりシャワーを浴びて、友人に絵葉書を何枚か書き、夕食へ。
夕食の途中、今日からサマースクール入りのMiyu先生がやっと到着。早朝ヒースローについて、それからずっとロンドンをうろついていたそうだ。さすがに体力が違うと感心する。
遅れて夕食を食べている先生をおいて、チルドレンショーの席を確保しに会場に早めに入る。EriさんChisaさんは、仕事の関係で明日一足先に日本に帰る予定なので、最後のいいイベントになるといいけれど。

会場はいつもダンステクニックVを習っているシアター。後ろの壁を引き出すと、階段状の椅子が出てきて立派な劇場になる。暗幕や楽屋もあるし、照明や音響もそろっていて、小さいながらも結構本格的だ。
今年のショーは演目がバラエティに富んでいて、ダンスはもちろんのこと、歌、詩の朗読、即興絵画が入っている。総合芸術を目指したマーガレットが生きていた頃のMMMスクールを想像させる。


2年前のチルドレンショー
背景のお魚達も子供達の自作
  幼児のクラス・ヘルスプレイの子供たちは、相変わらずのびのびとして愛くるしい。この年代は出てくるだけで可愛いが、日本の子供(特にダンスを習っている子)にありがちの不自然な媚がなくて、見てて気持ちがいい。

チルドレンショーのメンバーは4歳から17才ぐらいまで。年上の子達は小さい頃からずっとMMMをやっているので、大人顔負けのクウォリティーがあって美しい。

特にフランスのリーナの娘は、あふれ出るような表現力と色気がある。自分でする振付も抜群だ(母親譲りの才能か)。映画「ブレイブ・ハート」を使った「フリーダム」は見ていて鳥肌が立った。  
これも申し訳ないけれど2年前の写真。
彼女達の成長ぶりは2000年のサマースクール日記に乞うご期待。

チルドレンショーでは男の子達も勿論大活躍。そばかすも可愛いフランスのセルジュは、ウィーン少年合唱団の「野バラ」を彷彿させるような繊細なボーイソプラノで歌を歌い、レオは操り人形と一緒に踊って大喝采を浴びた。
出演のメンバーを見ながら、みんな大きくなったなぁと感心する。大人っぽい踊りもこなすようになって、将来が楽しみだ。来年あたりは大人のクラスに来るだろうから、うかうかしているとあっという間に追いぬかれてしまうだろう。
最後はマリリンの振付で、踊り終わったこども達が客席の大人を舞台に引っ張りこんで、さながら大ダンスパーティー。これはなんと、午前中にマリリンのクラスで完全マスターしたやつだったから、余裕で参加。いつも最後はこういう感じだけど、結構難しいのにいきなり出ても上手に踊る人が多かったのは、ダンスクラスでやっていたせいだったのかと納得。今度から必ず出なくっちゃ。ジム先生まで引っ張りこまれて私の隣で踊っていたが、ずるいといった調子で「Setsuは知ってるんだろう!」とペチッと肩を叩かれる。あはは…、楽しかった。