兼題 木枯し 時雨 炬燵 席題 花八つ手 |
東 人 ヘアピンを磁石に留めて切炬燵 ピアノ音洩るる藁葺き花八ツ手 木枯しや一音ずれし神の鈴 行きずりのひとと逃げこむ初時雨 内人 障子越し読経とぎれおり花八ツ手 南画背にのの字のの字の掘ごたつ 木枯らしや文楽向かう鈴が森 銀婚式目で語り合う掘ごたつ 玄 髪 旅先の炬燵のしみに歴史みゆ 手酌酒窓の外には花八ツ手 住みなれし家に木枯し手にバッグ 待人の心知らずや初時雨 利 孟 交番に赤き灯点り横時雨 悠紀の田に護り人は無し村時雨 建て付けの悪き戸引ける時雨かな 豆腐屋の喇叭が過ぎて花八っ手 |
香 里 垣間見る花八ツ手にはきそうじ 声高くこたつにみかんでなごやかに 手をこする木がらしの中待ち合わせ 澄んだ空木がらしのあとの大掃除 若 夫 風花のふゞく花街花八ツ手 過ぎ去りし想ひ出話冬こたつ こたつ掛けひっぱり合いのかくれんぼ 木枯らしは秩父宮によく似合い 角 田 炬燵なき身に嬉し今年の風 庭隅にひときは厚く八ツ手咲く 木枯らしに心浮き立つ吾子の汗 健 次 都会では木枯らしを待つスキーヤー 時雨とは許し難き暮の雨 木枯らしに代りて雷ドドと鳴る |