第167回原宿句会
平成15年5月8日

   
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  美穂子
風を待つ間は腹寄せて鯉のぼり
草笛や少年俄か師となりて
ゆつくりと月押し上げて花卯木
神寝せぬ祭囃子の夜もすがら
野を渡る風が香を増す立夏かな

  希覯子
夏来たるわが青春は戦どき
戸袋を巣箱にしたる鳥巣立つ
ねんごろに大粒を選り苺狩り
草笛の名手のでありし友逝けり
卯の花の垣で区切らる貸し農園

  和博
草笛の幾度も草を替へにけり
湖面よりコックスの声夏来る
卯の花の旧街道を隔てけり
練乳の器に少し苺狩
竹の子の故郷の土の匂いかな
山峡の隙間を埋めて夏霞

  筝円
点滴につなぎし命穀雨かな
草笛を吹きては風を鋭らしむ
卯の花や喪服に真珠白さ増す
上水を早緑に染め風渡る
銀鼠の僧衣の衣擦れ夏立ちぬ

  正
渓流の水迸る立夏かな
湖北路に仏をたづね遅桜
草笛や我にもありし少年期
観音の堂守る村や花うつぎ
バゲットに苺ジャムつけ巴里の朝

  千恵子
初夏の海見下ろして観覧車
灯の消えし庭に卯の花明りかな
草笛の少年妹従へて
登廊の一方通行牡丹寺
柄の長き朝摘み苺つやつやと

  翠月
浜の子の満を持したる立夏かな
草笛の巧みなる兄青き空
シャツ脱ぎてあらたな空の星涼し
浄らかさかそけき風や花卯木

  白美
解き了へし微分積分立夏かな
俗名の他無き墓や花卯k
苺つぶすなべて夭折数学者
草笛に名手も在りて須磨の浜
     かな
桐の花神愛しめる子は天に

  利孟
怒つてはないわ苺を潰すだけ
気に入らぬ音はすぐ捨て麦の笛
遠回りして卯の花の塞ぐ道
座布団と鉄道鞄立夏かな
電磁波のスカラー波のと若葉光
 比呂史
職工の太き二の腕夏来る
露地ものの車中まるごと苺の香
卯の花に惹かれ立ち寄る峠茶屋
草笛の人は一人で土手に立ち
笹の香を卓に広げて粽解く