第171回原宿句会
平成15年9月5日

   
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  利孟
錦秋や煙透け出す登り窯
残暑かな追加の酒に天せいろ
電話よく鳴りたる二百十日かな
敬老日坐れば酒の定食屋
無花果や籠の砂利撒く保線員

  美穂子
折り鶴を箸置きにして敬老日
無花果のたわわに空き家なる隣家
錦秋や鬼瓦もする深呼吸
新涼や湯の飴色に檜風呂
映画館出て目交の残暑かな

  希覯子
二人から席譲らるる敬老日
転居先書き添へ残暑見舞かな
送り火の跡み行けば吠えられるる
錦秋や徐行続きのいろは坂
自転車を立て無花果をもぎにけり

  白美
お手玉に虫食ひ小豆敬老日
錦秋やバスの動かぬ九十九折
路地奥のカフェ無花果を煮る香り
張り残る選挙ポスター晩夏かな
巨匠てふ映画監督秋暑し

  和博
無花果の撓に観光武家長屋
祖父の日々まあるくなりて秋の茄子
錦秋や気鬱の病全快す
肩叩き券が祝ひの敬老日
秋暑し襟刳り深く水着跡

  千恵子
山寺を遠拝みして残暑かな

葉の陰に無花果暗く熟れてをり
秋暑し熊野古道に万霊碑
葬式用写真を撮りて敬老日
錦秋や鳥の影ゆく山上湖

  筝円
菜園のひしゃげたる棚残暑かな
無花果やサッカリンてふ濃き甘さ
風の波止まる刹那やすすき原
錦秋の森につながる湖の面
デイパック背負ひ敬老の日の集ひ

  翠月
敬老日眉毛の長き白髪かな
秋暑し松風に髪そよがせて
無花果のもぎたて一つ又ひとつ
小振りなるものを選びて草の市
錦秋の野のいずごより遠太鼓

  正
錦秋の渓へかはらけ思ひ切り
童謡の洩るるホスピス敬老日
天下狙ふ男の戦秋暑し
新涼やすらりと伸びし白き脚
生ハムに無花果添へて一の膳

比呂史
稲刈りや盆に隙無く塩にぎり
無花果の甘さの遠き記憶かな
錦秋や茶屋で頬ばる五平餅
啖呵切る敬老の日の案内状
山あひの霧に実りし稲穂かな