174回原宿句会
平成15年12月2日

   
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  箏円
寒鮒の水の重さを着たるかな
うろぬき菜隣も隣も寡婦の家
蕪鮓人に郷愁てふ嗜好
鴛鴦や滴ふたつのつたふ窓
霧時雨母とひとつの傘にいる

  一郎
鴛鴦のまどろむ午後の光かな
耳に貝あてれば冬の海の音
竿一本提げて寒鮒釣りと云ふ
風花や境界のなき村の墓地
火を囲むだけの団欒蕪漬

  正
小春日や湯で菜を洗ふ湯治宿
鴛鴦や他人にわからぬ夫婦仲
風花や東寺の市の仕舞ふ頃
寒鮒の味噌蒸熱き湖北かな
海鳴りの酒亭につまむ蕪鮓

  美穂子
蕪ずし海鳴り遠き町に住む
寒鮒の夕陽映して釣られけり
風花や結ひたての髪匂はせて
鴛鴦の水尾に散らせる影の彩
極月のギター滾らせフラメンコ

  希覯子
道問へば寒鮒釣りがねんごろに
風花や座布団を置く無人駅
蕪鮓加賀に縁の老舗と聞く
芦ノ湖はをしの天国浮寝群
戸袋に蟷螂塑像と化し縋る

  翠月
寒鮒のかそけき引きに合はす技
おしどりや三代揃ふ理髪店
荒波の沖の咆哮蕪鮓
天よりの色の授かり次郎柿

  利孟
  風花や爪先余る足場板
池普請馬穴に鯉の盛り上がる
紺屋町先の裏店蕪鮓
指二本残し寒鮒釣り鎧ふ
鴛鴦のとりわけ雌の反らす胸

  和博
浮島の流るに任せ番鴛鴦
主なき農具のおかれ蕪蒸し
鴨川の踊りの果てて小夜時雨
黒服の添乗員や紅葉散る
俎上にてびくりともせず寒の鮒

  白美
それぞれの秘密の練り餌寒鮒釣
大寺の厨の昏さ蕪蒸し
アルバムを開くときなし冬の夜
妻恋の鴛鴦岩陰に眠りけり

かめ
鴛鴦の水輪ひとつに進みけり
段取りを立てて息漏る十二月
蕪鮓酒は菊姫大吟醸
寒鮒の動きたるとき水動く
風花や手を添へ起こす母の背ナ