四十回目前記念土生重次師指導句会 兼題 夜濯 青簾 半夏生 席題 兜虫 |
重 次 つながれて四五歩のあゆみ兜虫 夜濯のこまめに水を流す音 廃材の炎の暗し半夏生 灯の入りて水の匂ひの青簾 東 人 仕出し物とどく騒ぎや青簾 水墨の墨よくすべり半夏生 夜濯のぱんぱんと襟伸ばしをり 飛び込んで来て翅使ふ兜虫 利 孟 半夏生水の貯まりし傘袋 夜すすぎの反転続く洗濯機 青簾座椅子の底の丸き穴 一息に畳めぬ薄羽甲虫 希 覯 子 兜虫買ふや朽木の床を添へ 山荘を開けて半夏の風入るる 夜濯のものベランダの内に吊る 青簾年金暮し始まりて 白 美 半夏生背中にボタン多き服 抗へば脚切れさうな兜虫 水盤に花片ひとひら青簾 夜濯や放歌高吟親しみぬ |
梅 艸 水滴があみだくじ引く青簾 夜濯や三十ワットの母の背ナ 海空のやや濁りをり半夏生 置き時計深閑と鳴って半夏雨 英 樹 香を焚く煙の洩るる青簾 半夏生まだ雛を抱く十姉妹 兜虫子等のうわさの雑木林 子沢山の夜濯のもの吹かれをり 香 里 こつこつと柱にあたる青簾 夜濯の濡れし手で出る電話口 分厚き本枕になりし青簾 甲虫脱脂綿に近づく角二つ 詩 乃 ひとり居の夜濯の衣ひと握り 簾越しの声新しき夫婦かな 名匠が編む不揃ひの青簾 さしかくる傘に母の名半夏雨 京 子 相やぐら幹に組み打つ兜虫 半夏雨畦に田植機縛られて 夜濯を干せば三つ四つ星座かな 巻き上げる手の明暗や青簾 |
千 尋 夜濯のハンケチたたく脱衣場 手にとれるにほひ懐かし兜虫 半夏生子は幾人や雨合羽 簾ごし石鹸少女のかよふ路地 千 恵 子 夜濯や月光に似し白きもの 兜虫獲る子に父のつき歩く 青簾母の独居つつが無し 少女らの産毛キラキラ半夏生 千 里 尾を下げて黒猫のそり半夏生 とめどなき文したためし半夏生 ひじ枕尻をかきかき半夏生 夜濯ぎの水泡はじけ一人言 武 甲 夜濯や身重の妻の里帰り 苗そよぐ水面の光る半夏かな 青簾赤子をあやす細き声 獣道分け入る人や甲虫 健 次 兜虫やっとつかまえ堆肥踏む 半夏にも気象衛星雲写し 陽の入るを止めてたゆたふ青簾 アパートに夜濯ぎの音伝播する |