第203回四天句会
平成18年5月15日

   
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 白美
紅薔薇や日干し煉瓦の塔の邑
蓋重き車長持桐の花
花槐雑貨に中国製とタグ
小満や山菜詰まる荷の届く
田植ゑの夜腰揉み解す孫の足

 正
獅子に乗る文殊菩薩の薄暑かな
小満の風を孕みて帆曳舟
水湛へ蛇笏の国は田植待つ
柩へと切り取る庭の白薔薇
桐の花薬箪笥を置く土蔵

 かめ
足を抜くこと儘ならぬ田植かな
手を取りて渡る飛び石若楓
小満や声で息吐く呼吸法
愛人の名前を持てる白き薔薇


 美子
精魂のバラ展を出てやつれけり
洗ひ場に浸す大鍋桐の花
五月雨や巌食む苔に光充つ
小満の陰笛渡る浅野川
海山の風吹き田植盛んなり

 武甲
母の日や壁埋めつくすクレヨン画
小満の小学生となりし顔
田植機の音軽やかに水揺らす
薔薇の園ベンチはどれも二人にて
桐咲ける事務所をあとに出陣す

 恵一
田植機の音間遠なる沃野かな
青空の一片剥がれ桐の花
待ち人はいまだ来らず薔薇の雨
小満や潮に埋もれる貝の色
靴音を高く響かせ薔薇ささぐ

 里佳
五月闇の彼方より香の匂ひくる
新しき友と田植のにぎり飯
小満や宣誓一言づつ区切り
白薔薇を手折る祖母の手確かなる


 直人
青白き脛に泥置く田植ゑかな
内裏なる紫紺の衣桐の花
障子開け碧の風を新茶汲む
紅薔薇別れ話を言ひかねて
小満や還暦の茶を点ててみる

 利孟
逃げ惑ひながらも群のめだかかな
小満の木漏れ日青く香りけり
貰ひ湯のさらのタオルや田植済む
桐の花かつて庄屋の長屋門
白薔薇や車の寄れば開く車庫