第204回四天句会
平成18年6月5日

   
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 利孟
花胡桃北斎が手の天井画
風帯の折癖ゆるみ梅雨に入る
夏至の夜のカードに紡ぎ出す話
エンジンを止めて水路へあやめ舟
横腹の箸の刺し傷水羊羹

 直人
黒南風や眉引き紅を濃くさして
唐臼の杵の間遠く梅雨に入る
夏至の日やあくびを一つ伝染されて
陶を焼く煙天まで花胡桃
義山の皿にぬめりの水羊羹

 美子
男衆ばかりが手子の井戸浚へ
黒文字の斑に打つ湿り水羊羹
濁手の甘き焼き肌梅雨に入る
長き穂となりたる青さ花胡桃
喫茶室混み合ふ夏至の美術館

 白美
梅雨空やきつぱり捨てる本の帯
篠笛の音色ふくらみ梅雨に入る
数式は因数分解花胡桃
ぷるるんと皿に落ちるや水羊羹
ワンピースに型紙を裁ち夏来る

 かめ
風の意のままに落ちけり花胡桃
夏至の日の書を読み継ぎてカフェテラス
極上の名水の味水ようかん
お昼寝の脚の重なる幼稚園
入梅や下駄箱に足す備長炭

 正
胡桃咲き別荘村に人の影
喝筆の果てに墨継ぐ梅雨入かな
よもすがら騒ぎて夏至のプロヴァンス
後輩に負けじとばかり遠泳す
塩の効く母の手造り水羊羹

 恵一
ハイカーの忘れしタオル花胡桃
夏至の日の頭にひびくミュールかな
咳払ひありて運ばる水羊羹
ほの青き波や梅雨入の浮御堂
ダービーの終りて夏至となりにけり

 里佳
箒目の残る店先水ようかん