第215回四天句会
平成19年5月17日

   
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兼題 初夏 蜂 ダービー


  利孟
ダービーの朝や馬房の浄め塩
ふぬけたるままの足腰初蛙
李もぐ甘酸つぱさを口に溜め
群れ膨れきれば積まれて蜂の箱
千の風のひとつとなりて初夏の風

  武甲
母の日や家事代行の大ちらし
笊ごとを流れに浸す李かな
ダービーや赤鉛筆を耳にのせ
いつになき憲法談義初夏の宴


  正
金印の島にまぶしき卯波立つ
李下過ぎて阿弥陀被りの帽正す
臍出して街ゆく初夏のパリジェンヌ
オペラ座に棲む蜜蜂の上ぐ唸り
ダービーの勝利の陰に調教師

  恵一
李食ぶジョギングの息あらきまま
蜂死して花粉のなかに乾びをり
天空へ立ちたる狼煙栃の花
みづうみにこぎ出す舟や初夏の木々
ダービーの馬の背うちてはづす鞍

  白美
球音の響く校舎に初夏来たる
飛ぶ蜂の頭の裏までつく花粉
惜敗といひてダービー帰りかな
酸いをとり外れと言うて李喰ふ
二次元の座標軸描く立夏かな

  比呂四
ダービーの新聞捩じり捨てて果つ
蜂の群れ退治に人の群れてをり
傷心のすつぱさよぎり李食ふ
新樹光大地をつかむ児の足裏
初夏やスローフードの自家菜園

  直人
夏初め裾翻し巫女二人
蕗しげり五百羅漢の御衣
還暦や七輪土間に蕗を煮る
浅黒き男の齧るすももかな
ダービーや駑馬の横目で見入りゐて

  耕平
大けやきの下でひと息初夏の風
尾根をゆく万緑の先光る湖
ダービーや末足信じ買ふ馬券
熟れたるを皮ごと喰らふ李かな
足長蜂に刺れてなほも続く夢