第214回四天句会
平成19年4月23日

   
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兼題 囀り 干鰈 清明


  正
風船の飛んでキリンの頸の上
潮風の味滲み島の干鰈
水温む湖に一番星の出て
温家宝首相
清明や「氷を溶かす旅」の客
囀やゴシップで売る週刊誌

  利孟
皿の呉須滲む白さの干鰈
花の咲く向きに風道熊谷草
囀や指先だけで書くメール
清明の飛沫真つ向海豚ショー
地下駅に流るる水も温みけり

  美子
酒呑みの手慣れて毟る干鰈
清明や少女の髪に天使の輪
駆け引きの荒々しきも鳥の恋
鈴生りの囀り抱く大樹かな

  直人
清明や夜半の桜のかほるかな
囀りや老女ばかりの寄る野点
干し鰈若狭の朝のささめごと
払暁の侘寝輾転桜冷え
病付き肘枕する花見かな

  白美
囀りや出窓にこぼるパンの屑
手のひらに紙石鹸や水温む
枕辺にあるミントチョコ暮の春
清明や金銀市場の賑はへり
おめでたの記事に知り合ひ干鰈

  武甲
黄ばみたる写真の叫び昭和の日
清明や生まれイランの塗装工
囀りや名前連呼の選挙カー
暮の春一人石置く乾物屋
水温む順番を待つ洗車場

  恵一
藻のなかへ走りゆく影水温む
清明の山のさみどりうすみどり
アパートのミニ鯉のぼり窓ごとに
総身に喝采あびて囀れり
酔客も寡黙になりぬ干鰈

  耕平
水温む川に魚の泥けむり
日一日と新芽も伸びて清和かな
風受けて白さ鮮やか干鰈
青ヶ島にて
鶯の声のしきりや島の朝
囀りやボトル片手の山あるき

  比呂四
六角の網目の透けて干鰈
清明や着こなし軽く闊歩して
囀りの径に目を止む淑女かな
春塵を斜に構へて躱しけり
ブレザーを肩に引つ掛け水温む