第231回四天句会
平成20年9月24日

   
兼題 新酒 落ち鮎 水澄む
席題 南洲忌     
点盛り表は、リンクをどこかに埋め込んであります
ご興味のおありの方はお探しください


  比呂四
手入れせぬままに盛りて萩の花
樽に耳当てれば新酒呟けり
水澄みて彩の全てを映しけり
落ち鮎の飛沫の中に舞ひにけり
政権の代交代南洲忌

  恵一
南洲忌月耿耿と桜島
鰡飛ぶやフェリーは窓に灯を点し
水澄むや小鮒の立てし笹濁り
鮎落ちるかなた大きな夕日あり
犬猿の仲をとりもつ新酒かな

  利孟
倒伏の稲を起こして南洲忌
獣めく貌の頑な下り鮎
詰めたての瓶に泡沸く新走り
水澄むや指閉ぢ上がる鷺の脚
仰向きの形が好きで蝉の殻

  正
鮎落ちて静けさもどる峡の村
アルプスの水より生れし新酒かな
流木に無月の潮のとどきけり
このあたり鳥獣保護区天高し
水澄むや硯師に逢ふ甲斐の国

  武甲
手招きで輪に引き込まれ今年酒
その裏に紅のほのかに蕎麦の花
水澄むや廃油で走るレトロバス
落ち鮎を素手で仕留めてポーズかな


  美子
菰冠匂ふ奉納新走
落ち鮎の瀬を流れては淵に寄る
水澄むや耳目を休め手を休め
足裏の肉の柔か南洲忌


  義春
水澄みて玉石深く揺るヽかな
眼を閉じて香りを探る新酒かな
落ち鮎や育ちし流れ振り向かず
改札で破顔の迎へ帰省かな
薩摩にて神と祀られ南洲忌