第２５２回四天句会
平成２２年８月２０日

　 　

兼題　残暑　日除け　糸瓜 席題　秋風

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武甲 秋風や独居の母の空メール ガレージに捨て置きの椅子糸瓜棚 巻き戻すビデオのきしり原爆忌 着色のガラスが日除け新車両 空箱昆虫標本残暑かな 　 恵一 聖堂にそびゆ尖塔夏燕 鉢植えの緑褪せたる残暑かな 区役所の壁に糸瓜の揺れにけり 秋風や入江出でたる船の跡 スニーカーとパンプス並ぶ日除中 　 利孟 水遣らぬ間にふてぶてとして糸瓜 信号を待つ間日除けに退り入る 刷毛書きの雲秋風とあるらしき 平熱に足らねど厳し残暑なほ 布施受けて袖へと移す汗手貫

義春 プラチナ通りの帆布の白き日除けかな 風鈴の鳴りて海風匂ひけり 秋風や高笑ひして掃く社 人気無き昼の公園残暑かな 糸瓜垂る耐へるといへど撓ふ棚 　 美子 秋風ややはりと思ふ訃報記事 駄々っ子のやうに投げ出す四肢残暑 糸瓜水取る寡婦の髪黒々と 犬小屋の日除のコークス袋かな 氷水啜る男子の白きシャツ 　 比呂四 日除け張る重しの漬物石めける 秋風やワイングラスの赤透けて 発車するまでの車中の残暑かな 熱風のビルの谷間に吹き溜る 葉の影を映して太る糸瓜かな