第268回四天句会
平成23年12月6日(火)

   
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兼題 散紅葉 隙間風 柚子湯 
席題 冬ぬくし        



  武甲
書きあぐぬままの転寝隙間風
鎮魂の海へと手向け冬花火
修験者の駆け行く古道散紅葉
冬温し背中に弾む塾かばん
父と子のアヒルを浮かべ冬至風呂

  比呂志
バス停のつま先で割る薄氷
銀色に耀く瓦紅葉散る
前脚で寝場所を掘りて冬温し
板壁の節穴だらけ隙間風
柚子風呂の溢る香りに癒やされて

  雨竜
紅葉散る抜け行く雨を染めながら
子らの声この一年の柚子湯かな
隙間風鼻先尖る夜具の内
山の端の赤める朝や冬ぬくし
この電車に飛び込む人の冬さぶし

  利孟
居酒屋の椅子に空き樽すきま風
袴着の替へのズックを持ちて父
検札の切符に判子冬ぬくし
ジャグジーの泡に翻弄されて柚子
水底の揺るるを重ね散紅葉 

  義春
蹲踞の蓋には足らず散紅葉
明けぬれば炊きの煙たちて秋
仄明かり宿の木槽の冬至風呂
冬温しハンガー溢る洗濯屋
隙間風書くこともなき旅日記

  恵一
僧正の途切れぬ読経隙間風
隣家より呼ばれ賜る柚子湯かな
散紅葉あさひに匂ふ昨夜の雨
拓本にとりたる氷下魚鍋にかな
遠ざかるオールの音や冬ぬくし

  あやの
山小屋の宴そこここすきま風
冬温し雀を狙ふ石の猫
終電車の音のかそけく柚子湯かな
黒々と鎮もるチャペル散紅葉
大気鳴る薄ら日に現れ冬の蝶