第288回四天句会
平成25年8月20日(火)

   
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ご興味のおありの方はお探しください

今回の句会の翌々日、原宿句会の影の創始者、馬場内人さんと一杯、持ち合わせた句稿をお見せしたところ、選句、選評を頂きました。まことに見事な選評にて、末尾に掲載しております。

兼題 蝉 天の川 西瓜


  利孟
白鳥の嘴より雫花氷
放り置きの土間の冷たさ西瓜切る
蝉生まる黄泉の衣を脱ぎ捨てて
闇抱へ込みてか細き蜘蛛の脚
制服と私服相寄り夏期講習

  武甲
蜘蛛の子や納戸の隅の塵の玉
六分儀手に立つデッキ天の川
卓袱台に大皿三皿西瓜食む
とどまりて灯りを揺らす精霊舟
大絵馬を納める御堂蝉しぐれ

  あやの
文末で躓く手紙蝉時雨
叩かれて網をかけらる西瓜かな
蜘蛛の囲の光湛ふる雨の後
捨て瓦上げれば蟇が身を寄せて
肝だめし果ててすずろに天の川
  比呂志
渓流の岩に涼んで塩むすび
振り払ふほどに絡みて蜘蛛の糸
指先に伝はる硬さ西瓜買ふ
一匹の蝉鳴き止みて森静む
羅や小町通りの小料理屋
天の川バージンロードを進みけり

  恵一
オアシスにチャドルのをんな西瓜売る
断崖に眠れるひひや天の川
蝉の声止む一瞬の空白し
そつと引く袋蜘蛛の巣土台石
揚花火消えゆく刹那じゅじゅと鳴る

  雨竜
蜘蛛の囲や朝の風をとらへをり
最終のバスの行く先天の川
北国の短き夏や蝉時雨
皮際の西瓜に残る子等の声
鈴掛けて巡礼尽きぬ夏の果て

  義春
身の幅のビル陰拾ひ火の盛り
外海に響く潮騒天の川
火の国の熱き気性や油蝉
蜘蛛の囲や山頂遥か光りをり
手土産の重き西瓜や昼下り


 馬場内人 撰・評

蜘蛛の子や納戸の奥の塵の玉
席題では文句無くこの一句。
断崖に眠れるひひや天の川
断崖の狒狒、天の川は蕪村の絵になりそう。
文末で躓く手紙蝉時雨
文豪漱石を彷彿、素人は文頭からつまづいたりして。
制服と私服相寄り夏期講座
一浪の彼と現役の彼女のカップルの一夏の青春物語。
揚花火消えゆく刹那じゅじゅと鳴る
番外撰、人気番組に敬意を表し、じぇじぇじぇのじぇ。