第295回四天句会
平成26年3月18日

   
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兼題 春一番 干し鰈 礒笛
席題 雛納め



  利孟
春一番小箱に落とす診察券
波に身を揺らすつかのま海女の笛
朝市の一膳飯屋干し鰈
ちぎりたるだけに岩塩春キャベツ
雛納め女雛の裾に乗る男雛

  比呂志
工場の油の臭ひ地虫出づ
磯桶に体をあずけ海女の笛
付き合はす道具あれこれ雛納め
春一番背を向けかはす土埃り
えんがわを一気にむしり干鰈

  恵一
磯笛や石積みけぶる舳倉島
抜き取りし太刀を拭ひて雛納め
竿竹に藁で吊るされ干し鰈
地のひびを見つけ筍探り掘る
春一番赤きサリーの飛び来たる

  あやの
勧誘の電話四度五度春一番
独活一本三品に仕立て夕厨
骨の紅ほのかに透けて干鰈
さうだとは知らず磯笛聞きしかな
この先の長き一年雛納め

  義春
押し黙り指に集中雛納め
ニューモード表参道春一番
瀬戸の陽のぬくみを焼いて干し鰈
初燕富士を横目に新東名
磯笛や三陸沖の鎮魂歌

  武甲
干鰈天日が詰める甘さかな
磯笛や位置を定めて遊魚船
春一番高校球児の幕開く
学割で回る地球や春休み