第328回四天句会
平成28年12月8日

   
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兼題 狸 鍋物一切 クリスマス
当季雑詠含め5句事前投句


  利孟
寄せ鍋やまづ手づかみに菜を入れて
葉のパーツ一つが失せて組む聖樹
猪鍋や雫となりて窓の湯気
轢過さる狸世が世であるならば
慈善鍋常在戦場てふ教へ

  恵一
浄瑠璃の跳ねたる街のクリスマス
地よりやや浮たるごとし風邪心地
鍬焼きや人事異動の打診受く
狸来て上目遣ひに硝子越し
窓を開け換気扇入れ成吉思汗鍋

  あやの
子に化けて焚き火を囲む狸かな
おでん鍋仕込み解き出すパズルかな
夜の更けてパティシエ達のクリスマス
大根足し出汁たし昨夜のおでん鍋
聖堂の扉ふるはせ虎落笛

  比呂志
民宿の障子に狸寄る気配
肉野菜友の持ちくる鍋パーティ
残業の果てて値下げの聖菓かな
電飾に埋もれ住宅展示場
円窓に映る紅葉に心決め

  武甲
水炊きや乙女の尽きぬ恋談義
平積みを前の長考日記買ふ
クリスマス白衣で歌ふ合唱隊
狸棲む里に福呼ぶ茶釜かな
初雪の無垢の絨毯ロード踏む

  翠江
クリスマス痩せた財布と会議中
落ち葉掃き頃合ひ見つつ箒止め
今日も鍋明日も鍋で種尽きる
紅葉の積もりし雪に知る異変
よーしきた狸に負けぬ腹鼓

  義春
庭先の一束貰ふ小菊かな
信楽に生まれし狸凍へけり
猫じやらし抓みて猫を探し居り
嫁貰ひ取り箸使ふ鍋となる
冷え冷えの都心の電飾クリスマス

  雨竜
底冷えの空に張り付く烏かな
駅舎揺れ飛び出す人やクリスマス
布団干す夢を枕に鼾かく
かさこそと週末歩く狸かな
たら鍋や肝三寸の迫り上がる