第331回四天句会
平成29年3月9日

   
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兼題 菜の花 蛤 のどか
席題 鳥雲に 



  利孟
花菜風受けてゴトリと発つ電車
春の雪すべりて濡らす硝子窓
次の寺までは半刻のどけしや
砂抜きの蛤闇に汐吹いて
犀川は北へと流れ鳥雲に

  武甲
蛤を焼きて帰漁の祝ひ酒
鳥雲に入りて湖面に残る波
菜の花に見え隠れして海光る
碑にきざむ船村演歌春の潮
のどけしやトンビ輪を描く城の町

  恵一
のどけしや時計の窓に鳩鳴いて
モジリアーニの瞳のなき女春浅し
貝塚に立ちけるモース鳥帰る
山越えて海へ菜の花畑かな
酒蒸しの白蛤や小盃

  あやの
菜の花や中学生の恋談義
のどけしや端布でブックカバー縫へば
鳥帰る浜に人影ふたつみつ
長旅の土産話や蛤汁
ままごとの声の空耳花ミモザ

  義春
一点を見上ぐ村人鳥帰る
蛤を深間で探る足の先
長閑なり電話も鳴らぬ昼下り
菜の花や校外授業歌うたひ
例年のたんかん届く皆達者

  比呂志
酒蒸しの蛤蓋を打ちにけり
長閑さや路面の音のドレミファソ
鳥帰るV字飛行の戦闘機
菜の花の岡の黄色と空の青
山茱萸の花こまごまと咲き誇る

  雨竜
駘蕩の多摩大宮の石畳
三月の頬を滑りて朝の風
菜の花や空を満たして鳥の声
蛤つゆのむき身二つの汁こぼれ
公園の池に子の声鳥帰る

  翠江
長閑なりカフェの窓辺に微睡んで
はんなりと色付柳春の味
花の香につられ振り向く沈丁花
雅なる立振舞ひの貝合はせ
ひな人形飾る喜び古稀迎へ