第42回 平成11年11月26日
アーバンしもつけ



岩本充弘
白菜を重ね尻より縄を打つ
嫁ぐ日の親そはそはと白障子
縫ひなをす形見の小紋小六月
大鷲の巣は列島の森守る

片山栄機
長靴を履いて白菜の畑に入る
寝入る子の背なに重たき障子張り
鳥立てる音を追ひかけ枯葉散る
年詰まる喪中葉書また届き

川村清二
振り袖の裾も地をすり千歳飴
陽の温み集めて甘き柿簾
浮き沈むながらもみぢの組む筏
孫騒ぐ四畳半の障子かな

田中鴻
白菜を漬け新妻の手の赤し
貼り終へて指穴のある新障子
初孫や羽織袴の七五三
大根引く葉の棘立ちを物とせず

とこゐ憲巳
木枯や地蔵を囲ふ千羽鶴
山門と朱を競ひ合ふ照紅葉
旗を打つ風の変わりて冬来たる
埃飛ぶ車内の日射し今朝の冬

永松邦文
杉並木黝々として冬霞む
「禁煙」と書く二千年新日記
独り旅がらんと広し自障子
新障子半ば開きに風を呼ぶ

仁平貢一
峠路の雲の裾まで冬菜畑
朝の陽の中に白菜光りをり
本殿に柏手響く白障子
宿坊の白き障子に朝陽差す

福田一構
女学生ひとリで冬のローカル線
霧を吹くことが仕上げの障子貼り
白菜を四つ割りにして母米寿
訪ふこえに声で応へて障子貼り

へんみともこ
まづ一羽撒く餌におりて今朝の冬
青光る夜の水槽新障子
白菜の嵩大鍋に落ちつけり
おもひきり振り白菜の水を切る

堀江良人
雲の影彩を加へて秋の山
朝食の温もり留む冬障子
陽の射せるとき鵯のさはぎだす
校庭の雨打つ音に銀杏散る

三澤郁子
行く秋やかんぬきで閉づ登拝門
夕暮るる庫裡に真白き高障子
横書きにしたる門札蔦紅葉
お城下の古き名の路地石蕗明り