第55回 平成12年12月22日
アーバンしもつけ


岩本充弘
藁塚の匂ひ叩きて時雨来る
出番待つ鬼は校長里神楽



大垣早織
廃校の曇りガラスや冬枯るる
教会の鐘高らかに師走かな
手相見る灯のゆらめきぬ師走月
冬枯れやけだるき午後のミルクテイ

片山栄機
木枯しや工事人夫の髭伸びて
席ゆづりくれし子供の赤き靴
冬ざれやビール工場の赤い屋根
歳末やくじ売りの娘の赤き頬

川村清二
大仏を笹でくすぐり煤払ひ
世紀末の師走第九の歓喜の歌
除夜の鐘聞きて迎へる新世紀


田中鴻
冬枯れの林飛び交ふ鳥の群れ
熱気球師走の空を漫遊す



とこゐ憲巳
窓拭きの窓に張りつき年暮るる
幻の焼酎をあけ大晦日
鳴りづめの暴走ホーン除夜の鐘


永松邦文
目覚ましのベルの音よわし冬の朝
ぽつぺんの音鋭角の寒の入り



栃木昭雄
師走晴街に歓喜の歌流る
鑿鉋研ぎ棟梁の年用意
木漏れ日を動かしてゐる尉鶲
山眠る華厳滝の鼓動抱きしまま

仁平貢一
凩や家路なかばの一里塚
篠藪の揺るる根方や冬雀



へんみともこ
赤き実のいくつか残り冬枯るる
枯れ果てて夜空平らに広がれり
霜つよし牛乳配達敏な裸子
背より羽根生えてくる夢日向ぼこ

堀江良人
消え残る外灯淡し師走空
飛び跳ねて登校する子の息白し
風いつか追風となりて町師走


三澤郁子
すれ違ふ人も師走の風を連れ
冬枯れの欅網目の枝を針
吹きさらす師走の空の広さかな
掃き寄せしままの木の葉や年の暮