第64回 平成13年9月24日
川上澄生美術館・古峰ヶ原吟行

吟行会は、10時30分鹿沼市の「川上澄男」美術館集合
郷土の生んだ版画家川上澄男の作品を鑑賞
川上は宇都宮中学(高校)、宇都宮女子校の英語教員などを
勤めていたため、会員の中にはその薫陶を受けた方も
いらっしゃいます(そう遠い昔の話ではないようです)
今回は、川上澄男の女性像を取上げた充実した特別展です
永松世話人の連絡をとりあえず神妙に聞いている女性会員


最前列に新参加の「大貫」さん


後列右は「横浜句会」から移住してご参加 岡田耕さん


ほんとに天気のよい秋の一日でした


古峰神社は、創祀1300余年という歴史あるお社、
山奥にあることから、参拝は外からも可能ですが
通常、お社に上がって、参拝所で行うようになっています
宿坊も広大で、休憩所も広々しています
神域の他、古峰園という広大な庭園も整備されており
休憩施設、東屋なども、充実しておりますので即席の
句会も難しくはありません

すぎなみき、やしほの連衆は、しかしながら、作句に
熱心の余り、句会を開くことはありませんでした


古峰神社社前にて勢揃い

で、皆様ご期待の俳句ですが、これは各自作句
通信投句により利孟の選句、句会報で掲載
という運びになります

いずれにせよ、ゆったりとした秋の一日の
吟行の成果をご期待下さい


森利孟
秋冷や若き画工の恋不成就
ABCの絵解きの版画つづれ虫
紅葉山火防守りに天狗の絵
狛犬に苔の鬣秋暑し
水引草や木つ端細工の土産物
苔撫でるごとく熊手の掻く落葉
初紅葉烏天狗の黒き皺

岡田耕
コスモスの原を踏んまへ大鳥居
雁の秋ステンドグラス日を漉いて
風の線絵の中に吹く秋思かな
冷やひやと振子の音の美術館
沢水は音を連ねて釣舟草
しなやかに光闇内水引草
道端のやがて庭先赤まんま

片山栄機
水澄むや鯉に等身大の影
石垣の植えの茶店や天高し
逆光の日のめくるめく初紅葉
窓といふ窓開け放ち野分晴れ

石塚信子
裏山の秋の日熟るる古峯神社
冷まじや鼻三尺の天狗面
作業着の背に寄りては赤とんぼ
草を刈る音一円に吾亦紅
早紅葉の影をこぼして石の磴

大塚登美子
園丁の背や帽子に赤とんぼ
秋天や喉反らし見る大鳥居
洋燈とパイプの版画返り花
初紅葉社務所に隣る郵便局
参道に吹く風白しそばの花
古峰園の紅水引を荷の中へ

へんみともこ
美術館出で秋爽の風に逢ふ
秋澄むや野を一望に大鳥居
足音に鯉の集まり秋日和
水引草足元に触れ古峰園
枝先を水面に伸ばし初紅葉
川音を道連れとして秋の園

川島清子
天狗の間の畳百枚秋気くる
爽涼や漆艶ます天狗面
鯉の群狙ふ如くに蜻蛉舞ふ
せせらぎの瀬に水引の紅細し
目の大き女の版画秋の声

柏崎芳子
秋桜風の流れに囁きて
談笑の輪の大広間栗ご飯
細き径でつなぐ斜面の蕎麦の花
散策の足をくすぐり水引草
あづまやに皆の集まり花芒

大貫ミヨ
地下足袋の男行き来し野紺菊
老杉にしのぶの宿り秋高し
茎赤くそめあげそばの花ざかり
花紫苑軒たかだかと長屋門

永松邦文
大鳥居東を向きて天高し
秋澄むやステンドグラスの斜光線
初紅葉天狗の面に麻の眉
秀麗や衣擦れのして巫女の来て
神様に叶はぬことを秋彼岸

福田一構
堤防に二百十日の波爆ぜる
秋の浜錠を二つのシャワー室
浜芥筏を組みて秋の虹
朝霧や影にぎやかに登山道
黒雲に裾を突き立て厄日前
野良着洗日上げて夕べの走り蕎麦

堀江良人
山峡や入日に白き秋の空
一陣の風の吹き来てそば畑
若き穂の天を突き上ぐ芒かな
天高し西洋館の避雷針
参道を埋めるコスモス大鳥居

三澤郁子
ガラス絵の聖母のマント秋涼し
秋光の翳りに「女と洋燈図」
里村の黍の穂高く晴れにけり
真つすぐといふ爽やかさ杉木立
秋天をくわんと押し上げ大鳥居
ちちろ鳴く古峯神社昼深し

栃木昭雄
紺碧の底無き空や初紅葉
群鶇鳥居の反りの光かな
暁のひよどり群るる大鳥居

とこゐ憲巳
新人の訓練続き秋高し
やることの他には無くて焼く秋刀魚
水加減塩加減して栗ごはん
山腹のサンゴのごときほうき草
街頭の奉仕の婦人柚子香る