第109回 平成17年11月13日
大平山吟行
★乱れ積む坂の石垣冬桜
★護摩行の太鼓高打つ冬の杜
△菩薩らのなべて半眼菊の寺
△堂門の重たき翳や菊の寺
△晩菊の献華と藁の大草履
敬子
★微笑みの恵比寿大黒神の留守
△山茶花の紅の散り敷き有三碑
△風鐸を小春のつつむ山の寺
△紅葉晴蕎麦屋の暖簾にもみじ庵
山麓に道問はれたる冬桜
美代子
★野州路や門前に売る芋の串
△秋光や六角堂の棟反りて
△倒木に厚くむす苔鵙日和
風からぶ豆柿けりて山烏
野面積辿りてめぐる秋の寺
★山寺の木々に隠れて四季桜
△峠茶屋もみぢ葉越しに筑波嶺
△神無月風に堤の草白し
読経の香に染まらず照紅葉
堂前に秋名菊の咲き残る
一構
△駅前に立てる裸婦像紅葉晴
△山門の施無畏の額や照紅葉
△厄除けの幡へんぽんと秋の寺
大平山殊に楓の紅葉して
柚累々と大平山の中腹に
清子
△小六月読経のひびく六角堂
△音立てて鶏の遊べる落葉垣
△蔵町の蔵の座敷や暮早し
古池の渕に艶めく実南天
落葉敷く小暗き道に息切らす
△老杉の太きに絡み蔦紅葉
△神無月太字で書かる願ひ事
△秋澄むや関東平野に流る雲
山寺や燈に張り付く落葉かな
天領は紅葉の奥の修行の地
昭雄
△水音のそこにかしこに紅葉山
△登り来て鐘撞く寺の草紅葉
大平山このやさしさの小春かな
遠き日へ上る階段紅葉散る
しもつけの空澄みわたり買ふ団子
利孟
あぢさゐの枯れ稲荷社に千の鈴
束ねられながら地に伏す小菊かな
握り飯喰ひてはむしり草虱
香煙の影をくゆらせ秋日かな
味噌蔵の紅殻壁の秋日かな