第250回 平成29年11月26日
兼題: 添水(鹿威) 立冬


  利孟  
 お茶と飯供へ打つ鈴冬立つ日  
 今鳴るか鳴るかに応へ鹿威し  
 おすましが少し大人び七五三  
 遠山の裾を隠して小春かな  
 紅灯の軒を伝ひて時雨けり  

  美恵子  
☆ツィードの袖にふはりと雪蛍  
・冬に入る葉書に赤き切手貼り  
 刈上餅丸めて園の収穫祭  
 七五三おもちゃであやす写真館  
 社内大鍋より汲む酒を待つ  

  敬子  
△叩き干す破れジーンズ寒鴉  
・小春日や竹人形の細き髪  
・二代目の峡の工房冬菫  
・マンションの四角四面に冬日さす  
・冬日向猫はぬの字に眠りをり  

  信子  
△捨鐘なんて言葉をよく見つけてきたね  
・滅法な風に消されてばつたんこ  
・添水鳴る庭の隅隅まで掃かれ  
・影睦み合うて母子像冬に入る  
 草庵の静寂に夜半のばつたんこ  

  良人  
△山寺の静寂深めてししおどし  
・渓谷の流れ鎮まり冬に入る  
 朝やけの筑波嶺高く冬来る  
 塩原の山の色落ち冬に入る  
 川透きて川原も白み冬來る  

  ミヨ  
△架け大豆八溝の風の吹き溜まり  
・立冬や女子消防の声高に  
 み拵ふ庭師の黙や添水の音  
 柏手に袂の揺れて七五三  
 竹林を抜けて去来碑雁の頃  

  木瓜  
△おでん食ふ頭上に響く電車音  
 傷持ちて美声忍ばす鹿威し  
 小雪やふわり乙女の髪に載り  
 立冬や半世紀ぶりラブレター  
 牛鍋にじつと不満を煮詰め込み  

  巴人  
・旅の夜我が子の寝息添水の音  
・ま白なる巫女のはだぎぬ今朝の冬  
・ものの音なき里山の冬に入る  
・畦道に美女軍団の鳥おどし  
 鬼怒の湯やJAツアー冬に入る  

  比呂  
・木枯や茶碗呼継ぐ黒漆  
・行き暮れて乞う山宿の鹿威し  
 立冬や火点し頃の軽き地震  
 仕留めたる様話し煮る山鯨  
 遠畑に流れる煙冬立てり  

  聖子
・父の忌の母の冬菜のごまよごし
・着膨れてバス待つ人の無口かな
 真顔なる防災訓練今朝の冬
 立冬や法事済むまで 嬰泣かず
 立冬や母の育てし菜の甘し

  昭雄
・冬立つや轆轤に生るる抹茶碗
 そこにあるだけでいい山猪威
 躓ける手水の作法今朝の冬
 この先は断崖といふ猪威
 眼も声も掛けて水やる冬薔薇

  青樹
 しし威武将舞ひしか壱越調
 しし威し瀬音に合わせ打つ鼓
 今朝の冬すだれ柿干す納屋の軒
 しし威し獣走らす闇の音
 京の宿添水の音も侘びと聞き

  澄水
 立冬の朝ゴミ出しに襟立てる
 受験生オリオンに息白く吐く
 鹿おどし動かず淋し虎落笛
 水琴の音なくゆるる鹿おどし


 立冬を思はせる窓結露かな
 木枯らし一号の吹いて烏の行き迷ふ
 鹿おどし動かぬ側の冬薔薇
 居酒屋へ入れとせかす小夜時雨
 氷張り音無き部屋の手前かな